つたえたい、
心の手紙
いまは会えないあの人に
「つたえたい、心の手紙」

この活動を通して
「つたえたい、心の手紙」は、書くことで心の整理をする機会となる一方、読者の方からも、今ある大切な人たちと過ごす時間に改めて喜びを感じることができるという声が寄せられています。
この活動を通じて、手紙がもっている、“手紙を書いた本人だけではなく読んだ方への癒す力”“家族や友人との絆を再確認し、前向きに生きる気持ちにさせてくれる力”を皆様に少しでもお伝えできればと思います。

編集長が選ぶ、
今週の珠玉の1通
惜しくも受賞は逃したものの、作者の方の想いが強く感じられる作品を「珠玉の1通」としてご紹介いたします。
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お父さんが遺した線
私も四十歳を越え、ようやくお父さんの気持ちが理解できるようになりました。
毎晩、浴びるようにお酒を飲み、「うまいのは一杯目だけ。あとはマズイんだ」と言っていたよね。「だったら飲まなければいいのに」と私は非難しました。でも今、私もマズイ二杯目を飲むことがあります。そんなとき、お父さんも辛かったのだなあと思うのです。
戦地で軍人だった父親を亡くし、原爆で多くの友人を失ったお父さん、戦争に関することは避けるように何も語らなかったけれど、最期まで気持ちを整理できずにいたのでしょう。葬儀のとき、お祖母ちゃんが「原爆の日、たまたま遅刻したからあの子だけが助かったんよ、それがずっと罪悪感やったみたいでね……」と寂しそうに話してくれました。
酔うたびに軍歌を怒鳴るように歌い、時には涙を浮かべ最後はテーブルに突っ伏して寝てしまう、お父さんが抱えていた思いを知らなかった私はそんなお父さんが大嫌いでした。だから、高校生のときに「読んでみないか」と初めて勧めてくれた戦争の本もすぐに断わったのです。あのとき読んで感想を言いあえていればと後悔しています。私はお父さんが戦争について話す機会を奪ってしまった、お父さんが気持ちを整理できるチャンスだったかもしれないのに。
心の陰はお酒では晴れません。「家族」の大切さをつくづく感じる今日この頃です。ごめんね、お父さん、私は親不孝な娘でしたね。
最近、お父さんが遺した本を読んでいます。先日、特攻隊を描いた本の中に鉛筆の線を見つけました。引かれていたのは「死ぬのが怖くて何が悪い」という特攻隊員の言葉。考えたよ、お父さんは何でここに線を引いたのだろうと。その後も「線」を見つけるたびにお父さんに話しかけています。そして今、私はお父さんにどんどん近づけている気がしてます。
天国ではいっぱい話そうね。
次に出会う「線」が楽しみな娘より。
「心の手紙」に
寄せられたご感想
応募者の方の声
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静岡県・50代・⼥性
応募をきっかけに、改めて⽗や⺟への想いを⾔葉にすることができました。
忙しさにかまけて、⾒ないふりをしてきたような気がします。こんな⾵に感じていたんだ、と⾃分の事ながら、読み返すことができたことが、今、⾃分への⽀えです。
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東京都・10代・⼥性
初めてこの公募を⾒かけて、「祖⽗に伝えたい」その気持ちでいっぱいになり書きました。書いている途中はあれこれ祖⽗との思い出がよみがえって、何度も涙が⽌まらなくなり書くのを中断しましたが、最後まで書き上げられてよかったです。祖⽗に届くように⼼から願っています。
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⼤阪府・60代・⼥性
今まで⼼残りで後悔していたことを⽂章にして、⾃分の⼼の整理をすることができました。
本⼈にはもう伝えることができませんが、今まで内に溜めていた気持ちを吐き出すことで、⼼が少し軽くなった気がします。 -
神奈川県・60代・男性
この作⽂を書くことで、家族を考える良い機会になりました。私のように感じられる⽅は多いと思います。とても良い企画と思いますので、これからもずっと続けていっていただきたいと願います。
読者の方の声
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富⼭県・60代・男性
⾝に染みるお話ばかりで涙が溢れてきました。⾃分の⾝の回りにいる⼈やお世話になった⽅を⼤事にし、⼈の痛みや悲しみを知り、思いを同じにすることでその⼈の気持ちをより深く理解することができるのだと思いました。
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愛媛県・40代・⼥性
過去の作品を読ませていただきました。それぞれの⽅の⼈⽣や⽣き⽅、思いが伝わり、⼼が温かくなりました。⾃分の⽣き⽅や⼈⽣を振り返り、今に感謝する良い機会になりました。
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埼⽟県・70代・⼥性
毎年楽しみにしておりますそして何度も繰り返し読ませていただいています。
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岡⼭県・40代・男性
毎回、読むたびに普通の⽣活が当たり前ではなく、有り難い事なんだと思います。
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