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曹洞宗の葬儀の流れとは? 気をつけたい4つのマナーを紹介

作成日:2024.01.18
最終更新日:
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秋葉 祐子のイメージ
監修者
秋葉 祐子
/(株)くらしの友 儀典本部

2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。

同じ禅宗の葬儀でも、宗派によって葬儀の方法やマナーに違いがあります。曹洞宗の葬儀を行ったり、参列したりする場合は、焼香などの基本的な知識を押さえておくようにしましょう。

 

本記事では、曹洞宗の概要や、葬儀の主な特徴、手順、決まりなどを説明します。曹洞宗葬儀に関するよくある質問もまとめているので、葬儀を行う際や参列する際に分からないことがある方はぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • 曹洞宗の葬儀には授戒、引導、鼓鈸三通といった特徴的な儀式がある
  • 曹洞宗の葬儀は剃髪、授戒、入棺諷経、龕前念誦、挙龕念誦、引導、山頭念誦、退場という流れで行われる
  • 曹洞宗の葬儀では焼香、数珠、服装、香典それぞれにマナーがある

目次

  1. 1 曹洞宗とは?
  2. 2 曹洞宗の葬儀の特徴
  3. 3 曹洞宗の葬儀の流れ
  4. 4 曹洞宗の葬儀のマナー
  5. 5 曹洞宗の葬儀に関するよくある質問
  6. 6 曹洞宗の葬儀に参列する際は最低限のマナーを覚えておこう

1 曹洞宗とは?

曹洞宗(そうとうしゅう)とは、臨済宗(りんざいしゅう)、潙仰宗(いぎょうしゅう)、雲門宗(うんもんしゅう)、法眼宗(ほうげんしゅう)と並ぶ中国の禅宗五家の一つです。鎌倉時代の初期に道元禅師(どうげんぜんじ)が日本に伝え、瑩山禅師(けいざんぜんじ)によって広く普及したといわれています。曹洞宗ではこの二人を両祖としており、本尊である釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)と合わせて一仏両祖として崇めています。

 

文化庁がまとめた令和4年版宗教年鑑によると、令和4年時点における曹洞宗の宗教団体の数は14,560、信者は全国に363万6,144人いるとされており、日本でも有数の宗派です(※)。曹洞宗では、お釈迦様が坐禅の修行の末に悟りを開いたことから、坐禅が重視されており、心身を整える修行が実施されています。

 

※参考    文化庁「宗教年鑑令和4年版 p.88~89」

2 曹洞宗の葬儀の特徴

曹洞宗葬ならではのポイントを3つに分けて解説します。

2-1 授戒の儀式を行う

1つ目は、授戒の儀式を行うことです。授戒とは、亡くなった方が仏門に入るために必要な戒名や、戒法を授かるために実施されます。授戒は以下の5つで構成されています。

  • ● 酒水(しゃすい)
  • ● 懺悔文(さんげもん)
  • ● 三帰戒文(さんきかいもん)
  • ● 三聚浄戒・十重禁戒(さんじゅじょうかい・じゅうじゅうきんかい)
  • ● 血脈授与(けちみゃくじゅよ)

 

授戒を行うことで、故人は仏門に入るための準備を整えます。なお、授戒の前には仏門に入るための準備として剃髪(ていはつ)を行いますが、生きている方が出家する場合とは異なり、葬儀では導師がカミソリを故人に当てるふりをするのが一般的です。授戒の詳しい内容については、後述します。

2-2 引導の儀式を行う

2つ目は、引導の儀式を行うことです。引導とは、故人をあの世へ送り出すために行われます。故人が迷うことなく悟りを開けるよう、漢詩を読んだり、松明(たいまつ)を模したもので円を描いたりします。

2-3 鼓鈸三通(くはつさんつう)を行う

3つ目は、鼓鈸三通(くはつさんつう)を行うことです。鼓鈸三通とは、手持ちのリン(印金・いんきん)や太鼓(鼓)、シンバルのような鳴り物(妙鉢・みょうはち)を、前から順にちん、どん、しゃんと鳴らす儀式です。音を鳴らすことで故人が迷わないように導くことを目的としています。

 

曹洞宗ではこれら仏具が鳴らす大きな音が故人の魂を迎え、仏の元へ導くと信じられていました。鳴り物は3つあるため、鼓鈸三通では僧侶がそれぞれ一つずつの仏具を担当します。

 

鳴り物の音色は亡くなった方をあの世へ導くだけでなく、大切な方を亡くした参列者の悲しみを癒やす作用があるともいわれています。葬儀で鳴り物を鳴らすという風習は珍しく、他の宗派に比べるとにぎやかな印象を受けるところが特徴です。

3 曹洞宗の葬儀の流れ

曹洞宗の葬儀の基本的な手順を解説します。

3-1 剃髪の儀式を行う

生きている方が出家する場合と同じく、仏門に入るための準備として剃髪の儀式を行います。導師は剃髪に用いるカミソリを持ちながら、剃髪の際に唱える剃髪の偈(げ)という偈文を唱えます。

3-2 授戒を行う

授戒では、以下5つの儀式を行うのが習わしです。

  • 1. 酒水(しゃすい)
  • 2. 懺悔文(さんげもん)
  • 3. 三帰戒文(さんきかいもん)
  • 4. 三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)
  • 5. 血脈授与(けちみゃくじゅよ)

 

洒水では法性水(ほっしょうすい)と呼ばれる清水を故人に手向け、煩悩や穢れを清めます。次に導師が懺悔文を読むことで、故人の生前の罪を懺悔します。

 

三帰戒文で、仏の教えを遵守し、修行者に帰依することを誓った後、三聚浄戒・十重禁戒で、止悪(しあく)・修善(しゅぜん)・済度(さいど)という、三つの戒め(三聚浄戒)をさらに十個に分けた十重禁戒を授けます。

 

最後の血脈授与とは、お釈迦様から故人へ続く系図を記した血脈を、霊前に供える儀式です。供える際は血脈を香で焙ったり、棺や祭壇の上に安置したりします。

3-3 入棺諷経(にゅうかんふぎん)を行う

続いて、入棺諷経(にゅうかんふぎん)を行います。入棺諷経とは、ご遺体を棺に納める際にお経を読み上げたり、香を焚いたりする儀式のことです。ただ、現代の葬儀ではすでに入棺は済ませているケースが多いので、ここでは回向文(えこうもん)と呼ばれる文章を読み上げ、その最中に焼香を行う習わしになっています。

3-4 龕前念誦(がんぜんねんじゅ)

龕前念誦とは、棺を閉じる際に実施される儀式のことです。入棺諷経の際と同様の回向文と、十仏名(じゅうぶつみょう)を唱えます。十仏名とは、十体の仏様と一つの法の御名を唱えながら仏法僧の三宝を念じるものです。

 

ただし、すでに納棺は済ませてあるので、入棺諷経と同じく儀礼的なものとして実施されます。

3-5 挙龕念誦(こがんねんじゅ)

挙龕念誦とは、故人を火葬に付す前に実施される最期の儀式のことです。故人を初め、故人の縁者全員が成仏を願い、大宝楼閣陀羅尼(だいほうろうかくだらに)を唱えます。このとき、故人が心穏やかにあの世へ旅立てるよう、鳴り物の音を響かせる鼓鈸三通を行います。

3-6 引導(いんどう)

故人の迷いや邪気を払うための引導を行います。導師が故人の生前を漢詩で表したり、松明を模したもので円を描きながら、悟りの世界へと導く儀式です。松明は右回り、左回りの順で円を描き、動物の毛や天然繊維などを束ねて柄をつけた払子(ほっす)と呼ばれるものを振るって邪気を払います。最後に、仏門に入った故人が仏として悟りを開けるよう祈願するための読経を上げます。

3-7 山頭念誦(さんとうねんじゅ)

山頭念誦は、仏弟子になった故人が火葬に付されることで、悟りの境地に入られるようにと祈願する儀式です。山頭とは火葬場や墓地のことで、故人が葬儀場から火葬場へ向かうまでに実施されます。山頭念誦では曹洞宗の教えが体系的にまとめられている修証義と呼ばれる経典を読みます。

3-8 退場する

導師が退場したら、喪主が参列者に対して葬儀に参列してくれたこと、また故人との生前のお付き合いについて、感謝の意を述べるあいさつを行います。参列者が故人と最期のお別れを行い、出棺へと進んで葬儀は終了です。

 

出棺時に再度文章を読んだり、鼓鈸三通を行ったりするケースもあります。その場合は導師が会場を辞する前に行われます。退場から出棺までの内容や段取りは、寺院や地域によって差が出るようです。

4 曹洞宗の葬儀のマナー

曹洞宗葬で守りたいルールや風習を4つご紹介します。

4-1 焼香のマナー

曹洞宗の葬儀のマナー

曹洞宗では、焼香回数は2回行うのが習わしです。

 

自分の焼香の番になったら、焼香台の2、3歩手前で立ち止まり、本尊や遺影、位牌に軽く一礼してから焼香台に進みます。お香を右手でつまんだら、左手を添えて額に押しいただき、香炉に落とします。2度目の焼香では、額に押しいただかず、お香をつまんだらそのまま香炉に落とてください。最後に数珠を両手にかけて合掌・礼拝します。

4-2 数珠のマナー

曹洞宗の数珠のマナー

曹洞宗で用いられる数珠は看経念珠(かんきんねんじゅ)と呼ばれるもので、数珠が108玉連なっています。数珠自体の素材は特に決まっておらず、木や石などが用いられますが、百八環金が付いているところが特徴です。

 

数珠の持ち方は、一重の輪を一回ひねって二重にしてから両手で持ちます。なお、曹洞宗の信者でない場合は、宗派を問わず利用できる略式数珠を使用することもできます。

4-3 服装のマナー

服装のマナーに関しては他の仏教葬と同じで、一般的な喪服で問題ありません。男性は黒のスーツに黒のネクタイを着用し、靴下や靴、ベルトなども黒で統一します。女性も黒のワンピースやアンサンブル、スーツなどを着用し、靴やバッグ、ストッキングも全て黒でそろえます。

4-4 香典のマナー

香典のマナーとしては、袋の種類や記載方法に注意が必要です。曹洞宗の葬儀で渡す香典は、表書きに御霊前または御香典とある香典袋を使用しましょう。

 

水引の下に差出人の名前をフルネームで記載します。夫婦連名の場合は世帯主の名前をフルネームで記載し、配偶者の名前をその隣に記載します。勤務先の場合は代表者の隣に一同と入れるのが一般的です。

 

香典の相場に関しては、他の宗派と同じです。故人との関係性や地域によって相場が異なるので、周囲の方と相談して金額を決めてもよいでしょう。

5 曹洞宗の葬儀に関するよくある質問

曹洞宗の葬儀でよくある質問を2つご紹介します。

5-1 曹洞宗の葬儀で唱えるお経は?

曹洞宗で読まれるお経には、曹洞宗の教えを分かりやすく説いた修証義(しゅしょうぎ)や、禅宗で広く読まれる大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)、お釈迦様の遺骨に礼拝する舎利礼文(しゃりらいもん)などが読まれます。また般若心経を読むこともあるようです。

5-2 曹洞宗の葬儀でシンバルを鳴らす意味は?

曹洞宗の葬儀で用いられるシンバルのようなものは妙鉢といい、引導の儀式の一つである鼓鈸三通で使用される鳴り物です。曹洞宗では鳴り物を鳴らすことで故人が道に迷わないように導くと共に、大切な故人を亡くした参列者の悲しみを鳴り物の音色で癒すという目的があります。

6 曹洞宗の葬儀に参列する際は最低限のマナーを覚えておこう

曹洞宗の葬儀には、授戒や鼓鈸三通など、独特の風習があります。特に鼓鈸三通は鳴り物を使うため、他の宗派の葬儀にしか参列したことがない方は驚くかもしれません。しかし、鼓鈸三通には故人をあの世へ導き、参列者の心身を癒すという目的があります。驚いたり戸惑ったりせず、静かに儀式を見守りましょう。また、焼香の仕方も他の宗派と異なる部分があるので、回数や正しいやり方をきちんと覚えておくことが大切です。

 

くらしの友では、全国の葬儀場探しから仏壇・仏具の案内まで、幅広い事業を行っている他、葬儀に関する情報コンテンツを多数掲載しています。葬儀に関して疑問や不安のある方は、ぜひくらしの友をご利用ください。

 

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