
故人を思う素直なメッセージは、プロの司会者がどんなに綺麗で立派な言葉を並べてもかなわないものです。これまでくらしの友で携わらせていただいた葬儀で、特に心に残ったエピソードをご紹介させていただきます。
今回は、当社葬祭ディレクターの鈴木里美が担当した葬儀エピソードをご紹介いたします。
故人への大切な想いを言葉に
「参列者全員から一言話してほしいので、その進行をお願いできますか?」
葬儀開式前に、喪主様よりこのようなリクエストをいただきました。
突然のご提案に多少、驚きはしたものの、ご家族の意向であればぜひ取り入れさせていただこうと、参列者の皆さまにも事前にご挨拶のことをお知らせいたしました。
とはいえ、弔辞ではなく、参列者からお別れの言葉を頂戴するという経験はそれまでなかったため、「ご協力いただけるかしら」と、心配な気持ちもありました。
式は進み、その時間がやって来ました。
「では、ここからは故人様に向けて、皆様から一言お願いします」
と申し上げたところ、会場は少しざわざわ。
それでも順番が回ってくると、故人様へのメッセージを、皆様心を込めて伝えてくださったのです。
お別れの場での言葉の力
その日参列されていたのは、故人様のご家族やご親戚、ご友人でした。ごく親しい間柄の葬儀だったことも手伝い、その時間はとても素晴らしいものでした。
初めこそ恥ずかしがっていた方が、いざお話を始めると想いがあふれてきたり。特段の準備がないからこそ出てきた、とても素直なお言葉がたくさんありました。
故人様との大切な思い出は、どの方もお持ちです。さまざまな人によって語られることで、故人様の生前のお姿が立ち上がるようでした。
そのうち、故人様を失った寂しさ、悲しさ、無念さと同時に、感謝の気持ちや楽しかった思い出、思わずクスッと笑ってしまうような面白エピソードなども語られ、故人様を想い、慕う気持ちが会場にいる人たちの気持ちを一つにし、温かい空気が大きく満ちたのを感じました。
そのときの感動は、言葉では言い表せません。
どんなに素晴らしい司会のプロでも、故人様を思う残された方々の生の声にはかなわないのだな。こういうお別れのかたちもあるのだな。そう改めて学ばせていただきました。
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誰かに対する想いをかたちにした言葉は、とても深みがあり、強い力を持っていると経験した私は、以来、葬儀での「お別れのご挨拶」をおすすめさせていただいています。
もちろん、ご家族で決められた形式が最優先なので、特にご希望がなかったときなど、あくまでも選択肢のひとつとしてのご提案になります。
それでも、取り入れてくださったご家族や参列者のお声を聞くと、「心に残る良いお葬式だった」、「故人と最期に素敵な時間を過ごせた」と言ってくださる方がとても多く、ご満足いただけたことに安堵しております。
無宗教のご葬儀が増えている中、仏式の読経に当たる時間をどうお過ごしいただくとお客様のご満足につながるか。これからも故人様を想う、ご家族や参列者の皆様の気持ちに寄り添ったご提案ができるよう、心がけていきたいと思います。
想いをかたちにするご葬儀をお手伝い
いかがでしたでしょうか。
遅かれ早かれ、誰もがいずれは葬儀について考える時は訪れます。
大切な方を後悔なく、心を込めて見送るために。あるいは遺す家族への思いやりとして、事前相談で備えておくことは有効です。まずは葬儀についての知識を深め、葬儀の大まかな流れを掴んだり、今ある不安や疑問を解消しておくだけでも良いでしょう。ぜひ、お気軽にご相談ください。