和室や仏間のある家庭に置かれるイメージが強かった仏壇ですが、最近ではさまざまなデザインやサイズの仏壇が登場し、仏壇に対する考え方も今までとは変化してきています。

そこで今回は、仏壇にはどんな意味や役割があるのかを改めてお伝えするとともに、仏壇の種類や材質などについてもご紹介していきます。

仏壇の意味を改めて見直すきっかけにしていただければと思います。

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お仏壇の本来の意味とは

家庭での供養や法要の中心となる仏壇には、本来どのような意味があるのでしょうか?インドや中国など仏教が盛んだった国では、土や石で造った壇の上に仏像を置いて安置したものを仏壇と呼んでいました。

また日本においては飛鳥時代に始まったといわれ、厨子という仏像を安置するための箱や戸棚のほか、仏教の世界に出てくる須弥山をイメージした須弥壇(※)が仏壇とされていました。また、仏壇を祀っていたのは貴族など一部の上流階級のみで庶民の間ではまだ祀られていませんでした。

※須弥壇(しゅみだん):お寺の本堂において仏像を安置する壇のこと

現代の日本でのお仏壇の意味

しかし時を経る中で、お寺や上流階級などだけではなく、多くの家庭に仏壇が置かれるようになりました。

これにより、仏壇の意味するところも少しずつ変わってきています。

現代の日本では、仏壇は信仰の中心となる本尊を祀る場所であり「家庭の中の小さなお寺」としてご先祖様を供養する神聖な場所として本来の役割がありますが、近年ではその意味合いはさらに変化し、本尊を祀るというよりご先祖様と対話し、感謝するための場所と捉えている方が増えています。

お仏壇の種類について

仏壇の種類は大きく分けて3つのタイプあります。

和室に合いそうな重厚なデザインの「伝統型」と、洋室にも調和しやすい「家具調タイプ」また、人々のニーズによって誕生した「新しいタイプ」の仏壇です。

ここではそれぞれの種類の仏壇について詳しくご紹介いたします。

伝統的なお仏壇

伝統型のお仏壇
伝統型の仏壇には、主に「金仏壇」と「唐木仏壇」があります。
金仏壇は黒の漆塗りに金箔が張られた仏壇で、その名の通り、極楽浄土を彷彿とさせる荘厳な雰囲気の仏壇です。
漆や金箔の質や量、細工の細かさなど、どれだけ手間暇をかけているかによって金額が変わってきます。

また、唐木仏壇は、金仏壇とは対照的に、シンプルな雰囲気の木の素材を活かした仏壇です。材質には黒壇や紫壇が使われているものが知られ、わび・さびの文化を表しているものとされています。

唐木仏壇は、使われている木材の種類が金額に大きく影響します。本黒檀や本紫檀など輸入が制限されている木材を使用している仏壇はその希少性もあり、高額になりやすいです。

家具調タイプのお仏壇

家具調タイプのお仏壇
現代的で、洋間との相性も良い家具調タイプの仏壇は「モダン仏壇」や「都市型仏壇」などとも呼ばれています。

一見家具のように見えるものや、明るい色合いのものなどデザイン性が高い仏壇が多く、宗教っぽさをあまり感じさせないので人気を集めています。

また、コンパクトで置く場所を選ばない商品も多いので、様々なサイズから好みに合ったものをセレクトすることができます。

昨今では高級な材質を使った仏壇や、一流の腕を持つ職人によって造られた仏壇など、素材にこだわった仏壇もあります。

その他にもあるお仏壇の種類

その他にもあるお仏壇の種類
その他には、無宗教の方のために仏壇に相当する役割を担うものや手元供養があります。

サイズとしては仏壇よりコンパクトなものが多く、従来のお祀りの仕方にとらわれない新しい祈りの形として注目されています。無宗教の方の他、施設に入居されている方や嫁ぎ先でご両親を祀りたい方など様々な方がお使いになられるケースが多いです。

手元供養は、亡くなった方の遺骨や遺灰を保管し、近くに置いて供養をする方法で、よく使われるものには、ミニ骨壷やアクセサリーがあります。故人をいつも身近に感じたい方や宗教や様式にとらわれたくない方、お墓が遠くて参りになかなか行けない方などにも注目されています。

お仏壇に使われる材質について

仏壇に使われる材質には様々なものがあります。仏壇のタイプによって、相性が良いものやよく使われるものがあります。

ここではその材質について詳しくご紹介していきます。

金仏壇に合う材質

金仏壇にはどんな材質が使われているのでしょうか?

まずは日本でも広く分布している杉が挙げられます。杉は木目とともに光沢の美しさにも特徴があり、屋久杉、吉野杉、北山杉などは超高級な材質とされています。

また、香りの良さなどでも有名な檜は虫がつきにくく、耐久性なども良いです。そのほか、欅なども金仏壇に使われる材質として有名です。

唐木仏壇に合う材質

唐木仏壇に使われる代表的な材質が紫檀です。紫檀は高級な材質で、赤茶色のような色をしています。

また「木のダイヤモンド」とも言われる黒檀も有名です。黒と赤の褐色が縞になっているのが特徴で、耐久性でも優れています。

そのほかには、鉄刀木や白檀、花梨などのほか、日本人になじみのある楠や桜、楓なども使われます。

モダン仏壇に合う材質

モダン仏壇に使われる材質には、まず世界三大銘木とも言われ、落ち着いた重厚感が魅力のウォールナットがあげられます。

ほかには、スポーツ用品などにも使われるタモのほか、湿気に強いホワイトオークなどが挙げられます。

これらの木材は家具にもよく使われているため、リビングなどに調和しやすいのが特長です。

そのほかにも材質はある

その他にも、世界三大銘木のひとつで、楽器などにも使われるマホガニーのほか、高品質なサペリや耐久性に優れたウェンジ、日本で広く分布されるナラやポプラなど、様々な材質があります。

仏壇には、実に多くの材質が使われていることに驚いた方もいるのではないでしょうか?大切なものだからこそ、こだわって選びたいものですね。

仏壇に使用される主な木材と特徴

紫檀

重硬な材質で芯材は褐色、ダークブラウンの木目が特徴です。昔から、美しいキャビネット用材として高く評価され、今日でも高級家具用として人気の材です。産地や材質の違いでホンジュラスローズウッド、パーロッサ、ソノケリンなどの種類もあります。

紫檀

黒檀

重硬で強靭な材で、黒と赤褐色が交互に現れる縞模様が美しく耐候性も高いことから、仏壇の材料としては最高級とされております。

黒檀

楡(にれ)

独特の香りと光沢があり、耐久性に優れています。また木目が美しく、ねばりがあるので、曲げ木に適しています。

楡(にれ)

カーリーメープル

楓の一種で、木目が波状模様の美しい〈もく〉を形作ります。美しい光沢と優れた耐久性を誇り、机や楽器、装飾品などに使われています。

カーリーメープル

ホワイトオーク

真っ直ぐに伸びた美しい木目と適当な硬さ、大きな強度、高い耐久性、収縮の小さなことなどにより、世界的に価値あるオークと言われています。

ホワイトオーク

ウォールナット

北米が産地で、正式にはブラックウォールナットです。ウォールナットは木目が美しく、ヨーロッパ家具を代表する材でもあり、世界三大銘木の一つです。

ウォールナット

セン科セン属の落葉高木。木目は欅に似ているため、欅の代用材として、主に建築用装飾材、家具、木魚などに用いられ、美しい年輪模様が特徴です。

栓

ウェンジ

木目はタガヤサンとも酷似し独特の美しいさざ波模様と着色した黒では得られない奥行きのある渋みが特徴です。家具や建具、内装材、また楽器などに広く使われています。

ウェンジ

サペリ

センダン科の広葉樹でマホガニーに似た美しさがあり、ピアノの外装材のほか建築用造作材や高級家具として用いられることが多い木材です。

サペリ

タモ

硬く強靭で、軽く、曲げ性能、衝撃性能に優れる良質の素材です。家具や建材など以外に、 野球のバットの材料としても重宝されています。

タモ

ナラ

コナラやミズナラの総称ですが、ジャパニーズオークとも呼ばれ、欧州の落葉オークに類似しています。重硬で木目が美しいことから高級家具材に使われています。

ナラ

メープル

カエデ科の落葉広葉樹で、靭性が高く衝撃にも強く割れにくいことから、バイオリン、高級家具、ビリヤードのキューに利用されています。

メープル

ポプラ

ヤナギ科の落葉広葉樹。主産地は北米です。材質は軽くて弱くやや軟らかで切削すると材が毛羽立ち、仕上げに手間を要することがあります。

ポプラ

お仏壇を置くことって必要なの?

仏壇がある風景は、これまで多くの家庭で見ることができた姿でした。

しかし、核家族化が進んだり、マンション住まいの方が増えたりしたことで、改めて仏壇の必要性を考える方もいらっしゃるのではないかと思います。

仏壇はもともと、それぞれの家で信仰する各宗派のご本尊を祀り、礼拝するものでした。それが現代では、ご本尊だけでなく、ご先祖様や亡くなった家族に手を合わせる場所になっています。

そんな役割をもつことから、仏壇を置くことの良さは、お寺に行かなくてもご本尊を拝めること、お墓参りがなかなかできなくても先祖や亡くなった大切な家族に想いを馳せ、対話することができることなどにあります。

お仏壇を置けない状況

マンションにお住いのご家庭や一人暮らしの方など、住環境をはじめとしたさまざまな事情により仏壇を置けないご家庭もあると思います。

しかし、仏壇が置けない場合も、故人に想いを馳せ、供養ができる方法があります。

お仏壇を置けないときはどうする?

手元供養など
さまざまな事情から仏壇が置けない場合、手元供養などを仏壇の代わりにすることができます。

手元供養は、お墓などに納められる遺骨や遺灰を、ミニ骨壷やアクセサリーなどに納めて、常に故人を身近に感じることができるような供養の方法です。あまり場所をとらない供養の方法のため、ご自宅の中に仏壇を置くスペースがない方であっても問題ありません。

また、仏壇を置けない方だけではなく、お墓や納骨堂が遠かったり、購入を控えたいと考えておられたりする方にもおすすめです。

アクセサリーに納める場合、ブレスレット・ペンダント・指輪などで手元供養をすることができます。女性用だけでなく男性用のアクセサリーもあり、身に着けることができるので、いつでも故人を身近に感じていたい方に選ばれています。

また、祈り壇というミニ骨壷などが置ける専用の棚も販売されています。こちらを手元供養と合わせて使うことで、省スペースで仏壇のような目的を果たす空間をつくることができます。

本来、お仏壇が果たす役割

仏壇が果たす役割にはどのようなことがあるのでしょうか? ここでは、3つの側面から具体的に見ていくこととしましょう。

見えないものを敬う心

仏壇は家庭の中のお寺のような場所です。

そして、ご本尊のほかに、ご先祖様や故人も祀ってある仏壇の前で手を合わせることは、すでにこの世にはいなくなってしまった方との絆を確かめることです。

毎日欠かさずにお参りをしている方の中には、いつも一緒にいるようなつながりを感じている方もいるかもしれません。

また、見えない存在が守ってくれていることに対する感謝の思いをもつ方もいます。

こうして、仏壇を通して目に見えない存在に思いを馳せることで、敬いの心が生まれてくるのです。

ご先祖様とつながれる場所

仏壇は、お墓や納骨堂を除けば、どこよりもご先祖様に思いを馳せることができる場所ではないでしょうか?

お墓が遠くにあって、なかなかお参りに行けない方であっても、家の中に仏壇があれば、その場所を通してご先祖様を思い、供養をすることができます。

手を合わせながら故人に語りかけることもできます。このように、仏壇はご先祖さまとのつながりを感じられる場所としての役割を果たしてくれるでしょう。

精神的な安心感

これまでご紹介した以外にも、仏壇には、精神的な安心感を得られるという側面もあります。

仕事や人間関係や健康状態など、様々なことが恵まれている状態であったとしても、物質面の充足だけで人間の心が満ち足りるかというとそうではありません。

ふとしたときに虚無感を感じたり、今までの生き方に疑問を持ったり、もっと深い部分での充足感を求めるものでしょう。

そのため、どんなときも精神的な幸せを感じられることは、人間にとって大きな支えになります。

仏壇で手を合わせ、目に見えない存在とのつながりを感じられることは、精神的な面での安心感にもつながります。

まとめ

引っ越しなどで環境が変わり、仏壇を置くかどうか選択に迫られて今回の記事をチェックされた方もいるのではないでしょうか?

ご先祖様や故人を敬う場所として大切な意味をもつ仏壇ですが、現代のライフスタイルに合わせて、手元供養などで仏壇のような役割を果たすことも可能になってきています。

スペースなどで悩んでおられる場合は手元供養などの選択をするのもひとつの選択です。

『くらとも仏壇』では、専門店ならではの品揃えと豊富な知識で、仏壇に関する疑問の解消や、最適な仏壇・仏具選びをサポートいたします。

仏壇選びに迷ったら、ぜひ『くらとも仏壇』へご相談ください。

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