- 葬儀
エンゼルケアとは? エンゼルケアを行う目的や手順を徹底解説
/(株)くらしの友 儀典本部
2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。
家族を亡くした直後は、さまざまな手続きや葬儀の準備に追われます。その中で耳にすることの多い「エンゼルケア」ですが、具体的な目的や手順が分からず不安に感じる方もいるでしょう。
そこで本記事では、エンゼルケアを行う目的や具体的な流れを解説します。さらに、湯灌やエンバーミングとの違いについても紹介しますので、これから準備を進める方や知識を深めたい方はぜひ参考になさってください。
この記事で分かること
- エンゼルケアは故人が亡くなった後にご遺体に施す処置全般を指す
- エンゼルケアを行う目的には衛生状態の確保と故人の尊厳を守ること、ご家族の心のケアなどがある
- 湯灌やエンバーミングに似ているがそれぞれ異なる処置である
目次
1 エンゼルケアとは?
エンゼルケアとは、故人が亡くなった後に行う処置全般のことです。死後2~3時間の間にご遺体の衛生管理をしたり、見た目を整えたりと、生前の姿に近づけるための処置を行います。
故人が病院や介護施設で亡くなった場合は、医療従事者や介護士が行うのが一般的です。
2 エンゼルケアを行う目的
エンゼルケアを行う目的は主に3つあります。以下で一つずつ見ていきましょう。
2-1 1.感染症を予防するため
エンゼルケアは感染症のリスクを下げるために重要な役割を持ちます。ご遺体は時間の経過とともに腐敗が進み、体液や血液が漏れ出ることがあります。ご家族や看護師、葬儀社の関係者などに付着すると感染症を引き起こす可能性があるため、処置を施す必要があるのです。
なお、ご家族がエンゼルケアに参加する場合は、感染予防を目的にガウンや手袋、マスクの着用を促されることがあります。
2-2 2.故人の尊厳を守るため
故人の尊厳を守ることもエンゼルケアの目的です。長い闘病の末に亡くなると、顔つきが変化することがあります。またけがをしたり、髪や衣服が乱れたりした状態で永眠されるケースもあります。
ご遺体に処置を施すことで、故人の尊厳やプライバシーが守られるのです。
2-3 3.家族の心のケアのため
エンゼルケアはご家族の心のケアにもつながります。故人の容姿が生前の姿とかけ離れていると、ご家族がショックを受けることがあります。また、突然の死に直面した場合、すぐには故人の死を受け入れられないこともあるでしょう。
エンゼルケアによって生前の姿に近づけることで、ご家族は「故人のために最後にケアができた」という納得感を得られ、死を受け入れる準備ができます。
3 エンゼルケアを行う手順
ここからは、エンゼルケアを行う手順を一つずつ解説します。なお対応する病院や専門業者によっては順番が前後する場合があります。
3-1 1.事前説明と確認
エンゼルケアの前に、看護師や専門業者などから処置を行う目的と内容、流れの説明を受けます。その際、故人に着せたい服や最後にしてあげたいケアの希望、宗教・地域ごとの慣習などを伝えることも可能です。エンゼルケアへの立ち合いは必須ではないため、お任せしたい場合はその旨を伝えましょう。
3-2 2.医療器具の取り外し
故人が病院で亡くなった場合は、医師や看護師などの医療従事者が人工呼吸器、点滴、ドレーンといった医療器具を取り除きます。外から見えない医療器具は、火葬の際にトラブルにならない限りはそのまま残すこともあります。
3-3 3.口腔ケア
ご遺体の口腔内は乾燥が進みやすく、死後数時間で顎が硬直するため先にケアを行うのが一般的です。歯ブラシやガーゼ、綿棒などで清掃して臭気を防止し、口が閉じた状態になるよう枕などで調整します。
3-4 4.体液・排泄物などの除去
ご遺体から体液が漏れるのを防ぐため、傷をガーゼやフィルム材で保護し、必要に応じて縫合も行います。また排せつ物や鼻腔内の汚れも除去します。
3-5 5.体の清拭(せいしき)・洗髪
清拭(せいしき)とはプライバシーに配慮しつつ、全身を拭いて清潔にする処置のことです。ご家族が参加しやすいケアでもあります。体を拭いた後は保湿剤を塗り、ご遺体の乾燥を防ぎます。
また髪が汚れている場合は洗髪を行うこともあります。
3-6 6.着替え
着替えもご家族が参加しやすいケアの一つです。病院や施設が用意しているものか、ご家族で準備した衣服に着替えます。
3-7 7.エンゼルメイク
エンゼルメイクとは、ご遺体の顔を生前の姿に近づけるために施す化粧のことです。ご遺体は死後数時間で肌の色が変わったり、血色感が失われたりするため、男女を問わずメイクをするのが一般的です。
クレンジングなどで顔の汚れを拭き取ってから化粧水や乳液で保湿し、ファンデーションやチークで自然な血色感を出します。またひげが伸びている場合は、ひげ剃りをしてからエンゼルメイクをします。
担当者の専門性の有無によりますが、故人が生前使っていたメイク用品や好きだった色などを参考に、その人らしいメイクに仕上げることも可能です。エンゼルメイクは行っていない施設も多いので、希望する場合は葬儀社へ相談するとよいでしょう。
4 エンゼルケアと湯灌(ゆかん)の違い
エンゼルケアに似た処置の一つに、湯灌(ゆかん)があります。湯灌はご遺体を湯船で温めながら清めることで、現世の穢れ(けがれ)を洗い流すという宗教的な要素のある儀式です。
ご遺体の状態によっては、エンゼルケアで行う清拭のようにタオルやアルコール綿などで故人の身体を清拭する「古式湯灌」の形式がとられる場合もあります。
湯灌は医療従事者が行うことは基本的になく、納棺師や葬儀会社の専門スタッフが行うという点でエンゼルケアとは異なります。
湯灌についての詳しい情報は以下の記事で紹介していますので、併せて参考になさってください。
関連記事
- 葬儀
お葬式の湯灌とは?湯灌の流れや儀式の意味、参加するときの服装やマナーを解説
- マナー
- 流れ
- 事前準備
5 エンゼルケアとエンバーミングの違い
エンバーミングはご遺体の血液や体液を抜き取り、防腐剤を注入してご遺体の長期保存や腐敗防止、殺菌を行う専門的な処置です。火葬するまでに長期間ご遺体を保管する必要がある場合や、海外へ遺体を輸送する必要がある際などに行われるのが一般的です。また事故や災害により失われた体の一部を復元する作業も含まれます。
最近では、故人とゆっくりお別れする時間を作るために利用されることもあります。
エンゼルケアがご遺体の表面的なケアを目的とするのに対し、エンバーミングはご遺体の内側と外側の両方をケアする点が異なります。またエンゼルケアは、医療行為を除き、資格がなくても処置できるのに対して、エンバーミングは資格を取得した技術者でなければ行えません。
株式会社くらしの友では湯灌やエンバーミングにも対応しております。詳しくは以下をご確認ください。
6 まとめ
エンゼルケアとは、ご遺体の衛生状態を確保し、見た目をきれいに整えて生前の姿に近づける処置全般のことです。感染症の予防や故人の尊厳を守ること、ご家族の心のケアなどを主な目的としています。医師や看護師、専門業者などが対応し、希望があればご家族も一部の処置に参加できます。
「エンゼルケア」として実際にどんな内容の処置が行われているのかは、その施設によって異なります。清拭や見た目を整える処置が中心であり、葬儀までの間、身体の状態を保つための処置には対応していない場合もあります。どんな内容が含まれているのかを確認したうえで、湯灌やエンバーミングの必要性について検討するとよいでしょう。
湯灌やエンバーミングを希望する場合は葬儀会社へ別途依頼する必要があるでしょう。
株式会社くらしの友では、家族葬をはじめとするさまざまな葬儀プランをご用意しています。無料の資料請求、お見積もりを承っている他、葬儀の事前相談も受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
葬儀の料金プランはこちら
資料・見積もり請求はこちら
葬儀の事前相談はこちら
関連記事
新着記事


