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遺言書の簡単な書き方とは?要点を押さえてシンプルに書く方法を伝授

作成日:2024.03.11
最終更新日:
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監修者
小川如水
/(株)くらしの友 商事本部

東京都23区エリアを中心に、法事や葬儀などの施行業務を担当。法事・法要・仏壇や位牌のほか、墓地や墓石など、先祖供養に関連するさまざまな知識をもつエキスパート。

法定相続人以外にも財産を残したい場合や、特定の相続人に特定の財産を残すよう指定したい場合は、遺言書を作成する必要があります。しかし遺言書を自分で作成するとなると、不動産や預貯金を把握するなど手間が必要です。さらに全ての財産を特定して記載するとなると、文字数も多くなってしまい、作成に時間がかかります。そのため、遺言書のポイントを押さえてシンプルに書くことが大切です。

 

本記事では、遺言書の簡単な書き方や、知っておきたい注意点などを解説します。

この記事で分かること

  • 遺言書には相続人や財産を明確に記載する
  • 遺言書に署名と押印がないと無効となる
  • 遺言書の作成は専門家に依頼する

目次

  1. 1 【見本】遺言書の書き方サンプルを紹介
  2. 2 簡単に自筆で遺言書を書く方法|ポイントまとめ
  3. 3 遺言書を書く前に知っておきたい注意点
  4. 4 【ケース別】遺言書で気をつけるべきこと
  5. 5 遺言書の書き方を把握してトラブルを避けよう

1 【見本】遺言書の書き方サンプルを紹介

遺言書の書き方とポイント

遺言書を書く上では次のような内容を盛り込むようにしましょう。

 

  • ●     相続させる相手と相続させる物を記載する
  • ●     作成した年月日を記載する
  • ●     署名と押印をする

 

遺言書には、どのような遺産を誰に相続させるのかを明確に書く必要があります。相続の内容が曖昧になってしまっては、遺言書がトラブルの原因になりかねません。例えば「金融資産1,000万円を兄弟に半分ずつ相続させる」と記載した場合、明確に記載しているように思えます。しかし、金融資産は現金だけとは限りません。現金と株券を金融資産として保有している場合は、どのように分けるのか、もめてしまう可能性があります。

2 簡単に自筆で遺言書を書く方法|ポイントまとめ

自筆の遺言書は「自筆証書遺言」といい、消せないペンで記載することが大切です。他にも次のようなポイントを押さえておきましょう。

 

  • ●     相続人の記載
  • ●     財産の記載
  • ●     年月日の記載
  • ●     署名と押印を行う

 

2-1 1. 相続人の記載

相続人の記載では、誰に遺産を相続させるかを具体的に記載します。相続人を曖昧にするとトラブルにつながる可能性があります。そのため、具体的な氏名はもちろんのこと、相続人の生年月日まで記載して具体性を持たせましょう。

2-2 2. 財産の記載

財産の記載では、どのような財産を誰に相続させるのかを具体的に記載しましょう。例えば息子2人に相続させるのであれば、長男に「〇〇銀行〇〇支店、定期預金、口座番号〇〇〇」、次男に「〇〇銀行〇〇支店、定期預金、口座番号〇〇〇」といったように、具体的に記載することが大切です。

 

なお、書かなければならない財産が多い場合は、財産目録の活用がおすすめです。遺言書とは別で財産目録を用意しておけば、「別紙財産目録記載の財産を〇〇に相続させる」と記載するだけで済みます。

2-3 3. 年月日の記載

作成した年月日の記載も遺言書には必要です。記載されていない場合は遺言書が無効になるのが一般的です。また年月だけの記載も無効になる可能性があります。過去には年月を記載したものの、日付を吉日とした遺言書が無効とされた判例もあります。そのため、遺言書にはいつ作成したかが明確に判断できる年月日を記載しましょう。年月日を記載する際は和暦、西暦いずれでも問題ありませんが、誰が見ても分かる書き方で記載しなければなりません。

 

年月日の記載箇所に決まりはありませんが、一般的に遺言書の末尾に記載します。もし遺言書そのものに年月日が記載されていなくても、封入していた封筒に記載されていれば有効な遺言書として認められる可能性がありますが、無効とされる可能性もあるため、必ず遺言書の方に年月日を記載しましょう。複数枚にわたる場合は、全てのページに記載しておくと安心です。

2-4 4. 署名と押印を行う

遺言書への署名と押印も重要です。自筆証書遺言は本人の署名と押印がなければ無効とみなされてしまいます。自筆の遺言書に記載する署名は本名ではなく、ペンネームや芸名、屋号であっても、本人と同一人物であることが分かれば認められる可能性があります。しかし姓だけの著名は、遺言書を目にするのが親族であることを考慮すると、フルネームでの記載が望ましいです。

 

遺言書に押す印鑑は実印でなくとも、拇印であっても良いとされています。ただし、拇印では誰が押したかが判断しづらいため、なるべく実印で押印しましょう。

 

また遺言書に押印がなかったからといって、後日に遺族が押印すると、偽装した遺言書として扱われかねません。さらに、押印した遺族は相続の権利を失ってしまいます。このようなトラブルを避けるためにも署名と押印は忘れずに行いましょう。

3 遺言書を書く前に知っておきたい注意点

遺言書を書く前には次のような注意点を把握しておくことが大切です。

 

  • ●     エンディングノートと遺言書は異なる
  • ●     専門家に依頼することがおすすめ
  • ●     公正役場に相談する

 

3-1 1. エンディングノートと遺言書は異なる

エンディングノートと遺言書は異なります。両者の大きな違いは、法的拘束力があるかどうかです。

 

エンディングノートは終活の一環として、希望の葬儀や自分の訃報を伝えてほしい人などを記載するものです。エンディングノートにも相続について記載可能ですが、遺言書と異なり法的拘束力がないため、希望する相続が行われない可能性があります。さまざまな内容を自由に記載できるという点がエンディングノートのメリットですが、希望する相続を実現させるためには、エンディングノートではなく遺言書を残しておきましょう。

3-2 2. 専門家に依頼することがおすすめ

遺言書は自作可能ですが、記載ミスを避けるため専門家に依頼するのがおすすめです。遺言書の記載内容にミスがあった場合、有効性が認められないだけでなく、相続トラブルにつながりかねません。専門家に依頼することで遺言書にまつわるトラブルを避けられます。

 

遺言書の作成を依頼できる専門家は次のとおりです。

 

  • ●     司法書士:遺産に不動産が含まれている場合に適している
  • ●      税理士:相続税が発生するケースで依頼できる
  • ●     弁護士:相続トラブルにも対応できる
  • ●     行政書士:他の専門家よりも依頼にまつわる費用を抑えられる傾向にある

 

いずれの専門家に依頼する場合であっても費用が発生しますが、トラブルを避けるためにも一度相談してみることをおすすめします。

3-3 3. 遺言書を作成したら公正役場に相談する

遺言書の案文を作成したら公正役場に相談しましょう。公正役場で遺言書を作成すると公正証書になります。公正証書とは法律の専門家(国家機関)である公証人が作成した書類です。自筆証書遺言ですと、内容に何かしらの不備があった場合、法的に無効となるリスクがあります。そのため公的な機関である公正役場で作成した公正証書遺言証を作っておくとより安心です。

 

なお、公正役場で公正遺言証を作成するには2人以上の証人が必要です。未成年者や相続人などは証人になれません。証人を選ぶには、条件を満たした知人に依頼する、公証役場で証人を紹介してもらうといった方法が挙げられます。なお公証役場で証人を紹介してもらった場合は、一定の費用が掛かります。

4 【ケース別】遺言書で気をつけるべきこと

遺言書で気をつけるべきことはケースによって異なります。ここでは次のようなケース別で遺言書において気をつけるべきことを解説します。

 

  • ●     妻(夫)に全て相続させたい場合(子どもがいないケース)
  • ●     妻(夫)に全て相続させたい場合(子どもがいるケース)
  • ●     親にも財産を分けたい場合
  • ●     子ども同士で分ける財産に差をつけたい場合
  • ●     子どもに事業を継がせる場合
  • ●     相続人がおらず、世話人に財産をあげたい場合
  • ●     内縁の妻(夫)に相続させたい場合

 

4-1 1. 妻(夫)に全て相続させたい場合(子どもがいないケース)

子どもがおらず、妻や夫に全ての遺産を相続させたいケースです。配偶者は相続人になりますが、全ての遺産が配偶者に相続されるわけではありません。故人に兄弟や両親がいれば、相続人は複数人におよびます。配偶者と故人の兄弟、両親の相続の割合の目安は次のとおりです(※)。

相続人の構成
相続人
法定相続分
配偶者と両親
配偶者
3分の2
両親
3分の1
配偶者と兄弟姉妹
配偶者
4分の3
兄弟姉妹
4分の1

相続人の構成によっては、全ての財産を配偶者に相続できるわけではありません。配偶者に全ての財産を相続させたいのであれば、トラブルを避けるためにも遺言書を残しておきましょう。

 

※参考:国税庁. 「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」.

4-2 2. 妻(夫)に全て相続させたい場合(子どもがいるケース)

子どもがいる夫婦であっても、妻や夫に全ての財産を相続させることは可能です。子どもがいる夫婦の場合、法律で決められた法定相続分は配偶者に半分、子どもに半分になります。子どもが複数人いる場合は全員で等分します(※)。

また子どもが未成年の場合でも遺産を相続することが可能ですが、特別代理人と呼ばれる代理人を用意する必要があります。このような手間を省きたいと考えているのであれば、遺言書には配偶者に全ての財産を相続させる旨を記載しましょう。

※参考:国税庁. 「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」.

4-3 3. 親にも財産を分けたい場合

自分に子どもがいる場合、両親は遺産の相続人にはなりません。

自分に子どもがいて、親にも財産を分けたい場合は相続としては扱われず、遺贈として扱われます。

 

そのため、親にも財産を分けたいのであれば、遺言書に遺贈する旨を記載しておきましょう。

4-4 4. 子ども同士で分ける財産に差をつけたい場合

さまざまな理由から、子ども同士で分ける財産に差をつけたいと思う場合もあるかもしれません。基本的には子どもが複数人いる場合、人数に応じて遺産を等分するのが目安です。しかし、遺言書を使って子ども同士で分ける財産相続に差をつけることもできます。

 

子ども同士で分ける財産に差をつける場合は、その後のトラブルに配慮が必要です。例えば相続人には最低限の相続を受ける権利(遺留分の受け取り)が認められています。そのため、遺言の補足である付言事項に争いを望まない旨や、経緯などを記載して納得してもらえる工夫をしましょう。

4-5 5. 子どもに事業を継がせる場合

事業を経営している場合、遺言書で子どもに継がせることが可能ですが、気をつけるべきことがあります。

 

子どもに事業を継がせる場合、法人か個人事業かで相続方法が次のとおり異なります。

 

  • ●     法人:株式を誰にどれくらい相続するかを記載する
  • ●     個人事業:事業に必要な資産一つひとつを誰に相続するか記載する

 

子どもが複数人いる場合、事業を継がなかった子どもが遺留分を主張するかもしれません。このようなトラブルを避けるためには、他の兄弟に遺留分以上の財産を相続しておきましょう。また、付言事項に納得してもらえる内容を書いておくことも大切です。

4-6 6. 相続人がおらず、世話人に財産をあげたい場合

相続人がいない場合であっても、遺言書で指定した人に財産を遺贈することが可能です。遺言書にお世話になった人や友人などに財産を渡す旨を記載すれば、遺贈が認められます。なお、世話人に財産をあげる場合は相続ではなく遺贈と記載しましょう。また、遺言書に明記すれば、特定の自治体やNPOなどにも寄附することもできます。

4-7 7. 内縁の妻(夫)に相続させたい場合

内縁の妻や夫には財産を相続する法的な権利がありません。妻や夫に財産の相続が認められているのは法的に婚姻関係にある場合のみです。しかし、遺言書に内縁の妻、夫に財産を遺贈することを記載すれば認められます。内縁の妻や夫に財産を遺贈する際は、他の相続人の遺留分に配慮が必要です。

5 遺言書の書き方を把握してトラブルを避けよう

自筆で遺言書を作成する場合は、相続人や財産を明確にし、作成した年月日も忘れずに記載しましょう。また遺言書には署名と押印を行わなければ無効になってしまうので注意しなければなりません。遺言書にまつわるトラブルを避けるのであれば、専門家に作成を依頼するか公証役場で相談することをおすすめします。

 

くらしの友では葬儀についての相談だけでなく、遺品整理や相続についての相談にも対応しています。「相続について不安がある」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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