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「葬儀」「葬式」「告別式」「通夜」の違いとは? それぞれの役割のちがい

作成日:2023.04.17
最終更新日:
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秋葉 祐子のイメージ
監修者
秋葉 祐子
/(株)くらしの友 儀典本部

2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。

ほとんどすべての人にとって、「大切な人を亡くす」ということと、それに伴う葬儀は非日常の出来事です。そのため、葬儀に関しての知らない言葉が出てくることもあるでしょう。

ここではそんな「非日常」に直面したときの混乱をできる限り少なくするために、葬送の場面でよく見られる言葉について解説していきます。

今回取り上げるのは、「葬儀」「葬式」「告別式」「通夜」です。

これらの使い分けと、行う意味、そして葬送儀礼を行ううえでよく出てくる質問とその答えについて解説していきます。

この記事で分かること

  • 「葬式」「葬儀」「告別式」の間には、厳密な使い分けのルールはない
  • 「通夜」と「葬儀・告別式」の役割のちがい
  • 「葬式」「葬儀」「告別式」、それぞれの式がもつ意味
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目次

  1. 1 「葬式」「葬儀」「告別式」「通夜」の違いと使い分け
  2. 2 「通夜」と「葬儀・告別式」の役割のちがい
  3. 3 「通夜」と「葬儀・告別式」のどちらに参列したらよい?
  4. 4 まとめ

1 「葬式」「葬儀」「告別式」「通夜」の違いと使い分け

まず、「葬式」「葬儀」「告別式」「通夜」の違いについて解説していきます。

1-1 「葬式」「葬儀」「告別式」「通夜」の違い

「葬式」「葬儀」「告別式」「通夜」の違いは、以下の通りです。

 

葬式……

下記で紹介する「葬儀」「告別式」「通夜」を含む、一連の葬送儀礼をまとめて指す言葉です。また、「儀式の時間のみならず、故人を偲び弔うための時間そのもの」を指すこともあります。

ほかの3つに比べて、総合的・複合的な意味を含む言葉として使われることが多い単語であるのが特徴です。

 

葬儀……

多くは「通夜」の翌日に行われるものであり、宗教的な儀式を伴うお別れの儀式を指す言葉です。

たとえば仏教ならば僧侶による読経と参列者による焼香、神道ならば神職による祓い清めの儀式や参列者による玉串奉奠、キリスト教ならば牧師や神父による説教や参列者による献花などが、この「葬儀」のときに行われます。

 

告別式……

厳密には、「宗教的な儀式を伴わないお別れの儀式」を指します。宗教的な儀式を伴う「葬儀」の後に続いて行われるものですが、告別式のときには僧侶・神職・牧師(神父)は退場しているという特徴があります。

宗教者のいないなかで、故人の棺に花などを入れてお別れする儀式を主に「告別式」と呼んでいます。

 

通夜……

葬儀・告別式の前日に行われるものです。夕方~夜(16時~21時程度までが多い)に行われるものであり、日中に行われる葬儀・告別式とは区別されます。

なお現在の「通夜」はある程度の時間で切り上げられるのが一般的であり、昔のように「夜通し家族が起きていて、故人を見守る」というかたちは取られなくなりました。

昔は、「夜通し行われるかたちの通夜」を「通夜」と呼び、「ある程度の時間で切り上げられるかたちの通夜」は「半通夜」と呼んで区別していました。しかし時代が近代に近づくに従い、夜通し行われる本来のかたちの通夜の文化が激減したため、かつては「半通夜」と呼ばれていたかたちの通夜が「(『半』をつけない)通夜」と呼ばれるようになったという経緯があります。

1-2 言葉の使い分けのルール

上記では「葬式」「葬儀」「告別式」「通夜」の使い分けについて解説してきましたが、実はこのなかで明確に区別されているのは「通夜」だけです。

「葬式」「葬儀」「告別式」の間には、厳密な使い分けのルールはありません。葬儀会社・専門家の間でも解釈が分かれることが多いものであるため、絶対的な正解はないのです。

国語辞典を開いても、葬式とは“死者をほうむる儀式。とむらい。葬儀。葬礼。

 

これを見ると、葬式と葬儀はまったく同じ意味であるとされていることが分かります。葬儀と告別式の説明は異なるものの、現在は「葬儀の後に告別式をそのまま行うため、厳密にこの2つを分けて考えることはしない」とするスタイルが主流です。

葬儀会社内でも、また一般的な会話のなかでも、葬式と葬儀を分けて語ることはほとんどありません。また葬儀と告別式は、その意味こそ違っても、同じ日に連続して行われるものであるため、これも明確に区別されることはほとんどありません。

そのため、厳密に考えすぎる必要はないでしょう。

ただし本稿はこれらの言葉の違いを解説するためのものであるため、下記では「葬儀」「葬式」「告別式」を分けて解説していきます。

1-3 「葬式」「葬儀」「告別式」を行う意味

上記を踏まえたうえで、ここからは「葬儀」「葬式」「告別式」を行う意味について考えていきましょう。

1-3-1 「葬式」

解釈に正解はないものの、葬式とは残された家族が故人を悼み、儀式やお別れの時間を通して悲しみを共有し、その死を受け入れるために行うものであると考えられることが多いかと思われます。

葬式は故人のためだけに行われるものではなく、周りの人が「大切な人が旅立ったこと」を受け入れ整理をしていくためにもあるのだと考えられています。

1-3-2 「葬儀」

葬儀は、「これであの人は成仏できるのだ」「きちんと儀式を行ったから、あの人は家族を見守る霊になったのだ」「きちんとお見送りをしたから、家族は神の御許で永遠の安息を得られるのだ」という安心感を得るために行うものだと解釈できます。

宗教を信じている人をその人が信じていた送り出し方をすることで、残された人たちが「大切な人の行く末が安寧であること」を信じられるようになるのです。

1-3-3 「告別式」

告別式は、大切な人との最後のお別れを悔いなく行えるようにするために設けられるものだと考えることができるでしょう。

家族とのお別れという私的な時間であるとともに、会社関係・知人関係・親戚関係とのお別れという社会的な意味を伴う時間でもあるといえます(※このあたりは時代とともに変化していっている解釈でもあるので、詳しくは後述します)。

繰り返しになりますが、これらの解釈には「正解」はありません。それぞれで葬式・葬儀・告別式のとらえ方は大きく異なるものだと考えておきましょう。

2 「通夜」と「葬儀・告別式」の役割のちがい

さて、最初の項では「葬式・葬儀・告別式のなかで、通夜だけは明確に区別される」としました。

それではこの「通夜」にはどのような意味があるのでしょうか。翌日に行われる「葬儀・告別式」との違いと合わせて解説していきます。

2-1 「通夜」を行う意味

通夜は、近親者(特に家族)が故人と最後の時間をゆっくり過ごすために行われるものです。葬儀・告別式の後には火葬が待っているため(※一部の地域は除く)、葬儀・告別式が終わればすぐに出棺→火葬炉の前でお別れとなります。これでは、ゆっくりと故人とお別れすることができません。しかし前日に、夜を一緒に過ごせる「通夜」を挟めば、この悩みはある程度軽くすることができます。

また、通夜には実利的なメリットもあります。昔は死亡の判断が容易ではなく、「命を引き取ったと思っていたが、実際はまだ生きていた」ということがありました。そのため、本当に亡くなったかを確認するために、通夜を行っていたという事情もあります。

ちなみに現在でも、死後24時間以内に火葬することはできないと法律によって定められています。

2-2 「葬儀・告別式」の役割のちがい

かつては、葬儀・告別式は「会社関係者などの一般的な付き合いがあった人がお別れをするために行われるもの」といった性質を強くまとうものだと考えられていました。葬儀・告別式の意味は上記で述べましたが、以前は「社会的なお別れの場」という意味合いが強かったのです。

そして通夜は、「故人と親しかった人や親族が参加するものである」と解釈されていました。このため、その性質的な面から考えれば、通夜と葬儀・告別式は明確に区別されていたということになります。ただし現在ではその解釈も、少し様変わりしてきました(詳しくは後述します)。

3 「通夜」と「葬儀・告別式」のどちらに参列したらよい?

通夜と葬儀・告別式の違いを確認したうえで、「それではどちらに参列するべきなのか」について、立場別に解説していきます。

3-1 親族の場合

通夜も葬儀・告別式も、両方ともに参列するのが原則です。また通夜に先駆けて枕経(亡くなった直後にあげるお経またその儀式)などが行われるのであればそれにも参加します。特別な事情(妊娠中や、体調不良など)でない限りは参加が原則であって、特に「声を掛けられた状態」なら出席が必須です。

なお通夜の後に宿泊する場所については、状況やご家庭によって違いが見られます。

故人と同じ部屋(葬祭ホールの親族控室など)に寝泊まりすることもあれば、ホテルなどの別の部屋を取ることもあります。このあたりには明確な決まりはありませんが、「亡くなった人ともっとも近しい関係の人(喪主など)」の場合は、故人と同じ部屋で寝泊まりする傾向が強いように思われます。

3-2 親しい関係(友人など)の場合

通夜が原則ではありますが、葬儀・告別式に出ることもあります。また、もちろん両方に出席しても構いません。

ただし枕経には参加しません。また、故人と同じ部屋に泊まることもありません。これらは故人の家族・親族が行うことだからです。しかし、「子ども時代から家族同然に付き合っていて、故人のご家族から枕経にも参列してほしいと言われた」などのような特例の場合は、この限りではありません。

3-3 故人との関わりが深くなかった場合

上記で述べたように、かつては「葬儀・告別式は社会的な性質を強くまとうものであり、通夜は私的な性質を強くまとうものである」とされていました。このため故人との関わりが深くなかった人は、通夜には参列せず、葬儀・告別式に参列するのが原則でした。

しかしこの考え方は、時代とともに変化していっています。

 

葬儀・告別式が行われるのは「日中」です。偶然土日祝日になることもありますが、葬式は曜日を選ばずに行われるため、ウィークデイにあたる可能性の方が高いといえます。平日の日中は多くの人が仕事中であるため、「故人と関わりが深くなかったにも関わらず、仕事を休んで葬儀・告別式に参列すること」が難しいと感じる人もいることでしょう。

このような事情から故人と関係がそれほど深くない人でも、「仕事が終わってからでも参列しやすい通夜」に参列することがマナー違反ではないと考えられるようになりました。

無理のない範疇で、自分が行きやすい方に足を運ぶとよいでしょう。

3-4 通夜と葬儀の両方に参列する場合は、どちらに不祝儀(香典)を持参したらよい?

親しく付き合っていた友人や親族の場合は、通夜と葬儀・告別式の両方に参列することも多いかと思われます。このときに悩むのが、「不祝儀(香典)は、どちらの日に渡せばよいか」です。

結論をいえば、通夜か葬儀・告別式のいずれか片方、任意の方で不祝儀(香典)を渡すかたちで問題ありません。両日に参列することになっても、不祝儀(香典)を出すのはどちらか片方で構わないわけです(※ただし地域によって慣習が異なります。心配な場合は、葬儀会社のスタッフに相談してください)。

通夜と葬儀・告別式のどちらで不祝儀(香典)を渡すか、という問いに正解はありませんが、通夜に持っていく方が比較的多いように思われます。この場合、葬儀・告別式は原則として記帳のみを行います。受付の人に「不祝儀(香典)は通夜でお渡ししましたので」などのように、一声掛けてもよいでしょう。

4 まとめ

「葬式」「葬儀」「告別式」「通夜」は、非常に意味合いが似ている言葉です。ある時は区別されて語られることがある一方で、同じものとして使われることもありますし、葬儀会社・専門家によって使い方が異なることもあります。そのため、「一応は意味に違いはあるけれども、明確な正解はない」と考えておけばよいでしょう。

 

ただ「通夜」と「葬儀・告別式」は、その性質も、行われる日も違うため、区別をして考える必要があります。

 

親族の場合は両日に参加するのが原則ですし、場合によっては通夜に先駆けて行われる枕経にも参列する必要があります。友人の場合は、どちらか片方にだけ参加しても構いませんし、両日に参列しても構いません。

故人との関係性が深くなかった人の場合は、両日参列しても構いませんが、片方だけで済ますことが多いといえるでしょう。なおこの立場の場合は、かつては葬儀・告別式に参列するべきとされていましたが、現在は通夜への参列でも問題ありません。

 

両日に参列する場合は、不祝儀(香典)はどちらかの日だけで出すかたちでよいでしょう。

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