- 法事・法要
陰膳とは?供える意味や由来・料理の内容をわかりやすく解説
/(株)くらしの友 商事本部
東京都23区エリアを中心に、法事や葬儀などの施行業務を担当。法事・法要・仏壇や位牌のほか、墓地や墓石など、先祖供養に関連するさまざまな知識をもつエキスパート。
葬儀や法要の準備をしていると「陰膳」という言葉を耳にする機会があるかもしれません。陰膳を用意する際はいくつか押さえておきたい決まり事がありますが、いずれも日常生活ではなじみのないものなので戸惑う方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、陰膳の意味や使用する仏具の詳細、決まり事などを解説します。初めて陰膳を準備することになった方は、ぜひ参考になさってください。
この記事で分かること
- 陰膳とは、その場にいない家族のために用意する食事のことで、仏教の教えに由来する
- 陰膳では専用の仏具を使い、決められた配置で食器を並べる
- 陰膳は故人を想う心を表すための習慣
目次
1 陰膳(かげぜん)とは?
陰膳(かげぜん)とは、その場にいない家族のために用意する食事のことで、古事記にも記述があるほど古い歴史を持つ日本の慣習です。なお「影膳」と表記される場合もあります。
陰膳を用意することで家族とのつながりや故人への思いを改めて感じられることができます。
現在では主に、亡くなった方を供養するための食事として用意されることが多くなっています。
陰膳には以下の2つの意味合いがあるとされています
- ・遠く離れた家族のための食事
- ・故人の旅立ちを祈るための食事
次でそれぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
1-1 遠く離れた家族のための食事
陰膳に込められた1つ目の意味は、遠く離れた家族の無事を願うことです。
現代では電話やインターネットを使っていつでも家族と連絡を取り合えますが、昔は連絡手段がなく、家族が旅に出てしまえばほとんど連絡が取れませんでした。そのため、家族が食事に困らないようにと無事を祈り、食事を用意するようになりました。陰膳は戦時中にも行われており、戦争へ行った家族の身を案じて食事を用意していたようです。
1-2 故人の旅立ちを祈るための食事
陰膳の2つ目の意味は、故人の旅の無事を祈ることです。これは仏教の考えに基づいており、現代ではこちらの意味で陰膳を用意するのが一般的です。
仏教では、故人は亡くなった後に49日間冥土の旅をし、極楽浄土へたどり着くとされています。その道中で故人が食事に困らないようにという思いを込め、四十九日の間は陰膳を用意するようになりました。
また、一周忌や三回忌などの法要の場でも、故人と一緒に食事を囲めるようにと陰膳を用意することがあります。故人の思い出話をしながら食事をいただくことが、供養になるとされています。
2 陰膳で使う仏具と配置
陰膳には「仏膳椀(ぶつぜんわん)」という仏具を使います。「霊具膳(りょうぐぜん)」「供養膳(くようぜん)」などと呼ばれることもあります。
仏膳椀は小さな脚付きの台「仏膳(ぶつぜん)」と、5つの食器、箸で一セットです。素材は木製や漆塗り、プラスチックなどさまざまあります。
5つの食器の名称とそれぞれにのせる料理、自分側から見たときの配置は以下の通りです。なお、置き方は宗派により異なる場合がありますが、ここでは基本の置き方を紹介しています。
仏膳椀はご先祖様や仏様にお供えする際に使う「茶湯器(さゆき・さとうき・ちゃとうき)」や「仏飯器(ぶっぱんき)」とは異なります。これらは日常でお供えする際に使う食器であり、四十九日や一周忌、三回忌などの陰膳には使いません。
3 陰膳を用意する際の決まり事
陰膳を用意する際は、以下のようにいくつかの決まり事を押さえておく必要があります。
- ・「一汁三菜」が基本
- ・においの強い食材は避ける
- ・四十九日の間は毎日用意する
- ・仏壇や位牌に向けて置く
- ・最後は家族でいただく
- ・宗派によって決まり事は変わる
次で一つずつ解説します。
3-1 「一汁三菜」が基本
陰膳で用意する物は「一汁三菜」が基本です。決められた食材や献立は特になく、ご飯に汁物、お漬物、煮物などのお惣菜を出すのが一般的です。
ただし、かつて仏教では四十九日の間は殺生を避け、精進料理を食べるという慣習があったため、その期間は肉や魚、卵はなるべく出さない方がよいでしょう。
一周忌や三回忌では精進落としが済んでいると見なされるので、肉や魚を用意してもよいとされています。
3-2 においの強い食材は避ける
陰膳ではニンニクやネギ、ニラ、ラッキョウ、アサギなど、においの強い食材「五葷(ごくん)」も避けるべきとされています。これらは煩悩を呼び起こして修行を妨げるとされ、精進料理では避けられているためです。
3-3 地域や宗派によって慣習が異なる
地域や宗派によっては、初七日まで毎日供える、朝だけご飯やお水を供える、四十九日まで無理のない範囲で続ける、といったさまざまな方法があります。もし迷ったら、菩提寺や家族の慣習を参考にするのが安心です。
3-4 仏壇や位牌に向けて置く
陰膳は仏壇や位牌、遺影の方に向けて置くのが一般的です。以下の表の配置で仏膳の上に料理を並べ、お箸を手前に置いたら、お箸が奥になるように仏膳の向きを変えます。
陰膳を置くスペースがない場合は、専用の台や小さなテーブルに置きます。
3-5 最後は家族でいただく
陰膳で用意した料理は、最後に「おさがり」として家族でいただきましょう。家族全員で陰膳を食べることが供養につながるとされています。完食するのが望ましいですが、難しい場合は一口でも食べることが大切です。
自宅以外で陰膳を準備した際は、その場でいただくか、持ち帰ってからいただきましょう。
3-6 宗派によって決まり事は変わる
陰膳の配置や決まり事などは宗派により異なります。地域によっても異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
なお、浄土真宗では陰膳を用意しません。浄土真宗には、亡くなった人はすぐに成仏して仏になるという「即得往生(そくとくおうじょう)」の考え方があり、死後に極楽浄土まで旅をするという概念がないため、旅の無事を祈る陰膳は必要ないとされています。
4 まとめ
陰膳とは、その場にいない大切な家族を思い、心を込めて用意する食事のことです。「遠く離れた家族の安全を祈ること」「故人の旅の無事を祈ること」の2つの意味があります。
この慣習は仏教の教えに基づいており、故人が極楽浄土までの道中、食事に困らないようにとの思いを込めて用意します。
料理は精進料理を基本とし、肉、魚、においの強い食材などを避けるのが一般的です。陰膳には専用の仏具を用い、決められた位置にご飯や汁物、お漬物などを並べて仏壇や位牌に向けて供えます。また最後に「おさがり」として家族でいただくことで、故人の供養となります。
なお、宗派によって決まり事が異なるほか、浄土真宗では陰膳を行わないため、事前に確認しておくことが大切です。
大切なのは、形式を完璧に守ることよりも、故人を想う気持ちを形にすることです。
無理のない範囲で、家族の気持ちに寄り添った供養をおこないましょう。
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