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納棺とは? 基本的な流れやマナーを解説

作成日:2025.12.02
最終更新日:
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秋葉 祐子のイメージ
監修者
秋葉 祐子
/(株)くらしの友 儀典本部

2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。

納棺とは、故人の体を清め、衣服を整えた後に棺に納める儀式です。「どのような手順で進むのか」「家族はどのように関わればよいのか」といった不安を抱く方も多いでしょう。葬儀の中でも静かで厳かな場面であり、初めて立ち会うと戸惑うことも少なくありません。

 

本記事では、納棺の基本的な意味や行うタイミング、流れを紹介します。また立ち会う際のマナーや、棺に納められる物・納められない物についても解説します。ぜひ最後までご覧ください。

この記事で分かること

  • 納棺の意味とタイミング、時間
  • 湯灌・身支度から納棺までの基本的な流れ
  • 納棺に立ち会う際のマナーや棺に納められる物・納められない物
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目次

  1. 1 納棺とは?
  2. 2 納棺のタイミング・時間
  3. 3 湯灌・身支度から納棺までの基本的な流れ
  4. 4 納棺に立ち会う人の範囲はどこまで?
  5. 5 納棺の儀式にまつわるマナー
  6. 6 宗教ごとの納棺
  7. 7 まとめ

1 納棺とは?

納棺とは?説明画像

納棺とは、故人の体を丁寧に清め、死装束を整えた後に棺に納める儀式を指します。故人があの世へと旅立つための「旅支度」であり、家族が直接手を添えてお別れを実感できる大切な時間でもあります。

 

かつては自宅で親族のみが行うのが一般的でしたが、現代では葬儀社や納棺師が主導する形に変わっています。納棺師とは、故人の姿をきれいに整え、安らかな表情へ導く専門家です。衛生面にも配慮しながら、ご家族が安心して見送れるよう丁寧に対応します。

2 納棺のタイミング・時間

納棺を行うタイミングや所要時間は、地域や葬儀の形式によって異なります。通夜と同日に納棺を行う場合、一般的には通夜の開始2~4時間前に納棺を行います。

状況によっては、通夜日よりも前に納棺することもあります。

 

儀式にかかる時間は1時間ほどが一般的です。家族が立ち会って、手を添えたり、手紙や故人の思い出の品を納めたりと、それぞれが心を込めて故人に触れる貴重な時間になります。

3 湯灌・身支度から納棺までの基本的な流れ

湯灌・身支度から納棺までの基本的な流れの説明画像

納棺の前には、お湯で体を洗い流す「湯灌(ゆかん)」や、体をきれいに拭き取る「清拭(せいしき)」などの儀式を行います。その後、死化粧や着せ替えを行い、家族の手で棺へと納めます。

 

こうした一連の流れを知っておくことで、納棺の場でも落ち着いて立ち会えるでしょう。以下でそれぞれの工程を詳しく紹介します。

3-1 末期(まつご)の水をとる

末期(まつご)の水とは、故人の口元を水で湿らせる儀式で「あの世で喉が渇かないように」という願いを込めて行われます。お釈迦様が臨終の際に水を求めたという逸話に由来し、古くは「死に水」とも呼ばれてきましたが、近年ではより敬意を込めて「末期の水」と表現されます。

 

一般的には、割り箸の先に脱脂綿を巻きつけ、清浄な水を含ませて唇を優しく湿らせます。順番は配偶者、子、孫、兄弟姉妹など、故人と関係の深い方から行うのが習わしです。

 

現代では納棺のタイミングでこの儀式を行うことが多く、宗派や地域によっては省略される場合もあります。

3-2 湯灌(ゆかん)で清める

湯灌(ゆかん)は、故人の体をぬるま湯で洗い清める儀式です。かつては家族や親族が自宅で行っていましたが、現在では納棺師や葬儀社のスタッフが専門の設備を使って行うのが一般的です。体を衛生的にする目的の他に「生前の穢れ(けがれ)や煩悩を洗い流し、清らかな姿で旅立ってほしい」という願いや、「来世へ生まれ変わるための産湯」としての意味ももつとも言われています。

 

湯灌では、まず体をお湯で優しく清め、乾いた布で丁寧に水分を拭き取ります。近年は、湯を使わずに体を拭く「清拭(せいしき)」という方法を選ぶ場合もあります。

 

湯灌の詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

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3-3 死装束に着せ替える

死装束は、故人があの世へ旅立つための衣装です。「あの世への険しい旅を無事に越えられますように」という願いが込められています。仏式では「仏衣(ぶつえ)」と呼ばれる白い衣を身に着けるのが一般的で、修行僧の姿を模した装いとされています。

 

宗教によって衣装は異なり、神式では「神衣(しんい)」、キリスト教式では生前の衣服を選ぶことが多いです。最近では、形式にとらわれず、生前に愛用していた服を着せたいと希望する家族も増えています。好みの服を選ぶことは、故人らしさを大切にした見送り方の一つです。

3-4 死化粧を施す

湯灌を終えると、故人の表情や姿を生前の姿に近づける「死化粧」を行います。臨終の際の苦しみの跡を和らげ、安らかな顔立ちで旅立てるようにする大切な儀式です。最近では「エンゼルケア」や「エンゼルメイク」とも呼ばれ、男女を問わず行われています。

 

納棺師や葬儀社のスタッフが中心となって進めますが、家族が希望すれば一緒に参加できる場合もあります。化粧水や保湿剤で肌を整えた後に、ファンデーションで肌を自然な色合いに近づけます。チークや口紅で顔に血色感を足し、自然な表情に近づけます。

 

故人が生前に使っていた化粧品を使い、故人らしい顔に仕上げることもあります。また化粧だけでなく、髪を整えたりひげを剃ったりして、清潔感を出します。

3-5 ご遺体を棺に納める

身支度を整えた故人は、家族の手を借りながら静かに棺へと納められます。

棺に納めた後は、胸の前で手を組ませ、衣服や髪の乱れを整えます。故人の表情を見つめながら、手をそっと添えるこの時間は、家族にとって最後に故人と触れ合える機会です。深い悲しみの中でも、感謝の気持ちを込めて穏やかに見送りましょう。

3-6 副葬品を納める

棺に納めた後は、故人の愛用品や思い出の品を納めます。これらは「副葬品」と呼ばれ、旅立ちに寄り添う手向けとして、故人への感謝や祈りを込めて納められます。手紙や写真、ハンカチなどの小物が多く、好きだったお菓子などを選ぶこともあります。

 

後述しますが、火葬の際に危険となるものや、燃えづらいものは入れられませんので注意が必要です。

3-7 棺にふたをする

副葬品を納め終えたら、静かに棺のふたを閉じます。ふたは置くだけにすることが多いですが、地域や家の習わしによっては、出棺前に「釘打ちの儀」を行う場合があります。

 

ふたを閉じた後は「棺掛け」と呼ばれる布を丁寧にかけ、最後に姿勢を正し、静かに合掌します。

4 納棺に立ち会う人の範囲はどこまで?

納棺に立ち会うのは、基本的に近親者が中心です。配偶者や子、孫、兄弟姉妹など、家族が静かに見守れるよう少人数で進めるのが一般的です。

 

ただし、故人が「ぜひ見送ってほしい」と望んでいた相手がいる場合や、家族の意向として同席を望む場合は、柔軟に考えて問題ありません。

5 納棺の儀式にまつわるマナー

納棺は厳粛な儀式です。服装や言葉遣い、立ち居振る舞いに心配りが必要です。家族として参加する場合も、礼節を意識した身支度と所作を心掛けるとよいでしょう。

 

以下で詳しく解説していきます。

5-1 服装

ふさわしいとされる服装は、儀式を行う場所や同席する人の範囲で変わります。以下で場所別の服装のマナーを見ていきましょう。

5-1-1 自宅で行う場合

自宅での納棺は近親者のみで行うことが多いため、普段着で問題ありません。清潔感のあるトップスに落ち着いた色のボトムスなど、肌の露出を抑えた装いを意識します。柄や光沢の強い素材、主張の強いアクセサリーは避けるのが無難です。

 

またTシャツやダメージデニムなどの極端にカジュアルな服装も避けましょう。自宅からすぐに葬儀場へ移動する場合は、そのまま移動できるよう喪服を着ておくと安心です。

5-1-2 葬儀場で行う場合

葬儀で納棺を行う場合は、そのまま通夜へと続く流れになることが多いため、あらかじめ喪服を着用しておくのが一般的です。

 

男性は黒のスーツに黒のネクタイ、黒い靴下、黒の革靴を合わせましょう。光沢のない無地の素材を選び、靴は内羽根式のストレートチップやプレーントゥが望ましいとされています。

 

女性は装飾のない黒のワンピースやスーツに、黒いバッグ、黒のストッキング、黒のシンプルなパンプスを合わせます。アクセサリーは結婚指輪を除き、真珠の一連ネックレス程度にとどめましょう。

 

髪型やメイクも控えめにし、清潔感を意識することが大切です。静かな儀式の場にふさわしい装いで、落ち着いた立ち居振る舞いを心掛けましょう。

5-2 副葬品

副葬品入れていいもの入れられないものの説明画像

副葬品は、故人の旅立ちに寄り添うために棺へ納める品々のことです。副葬品のマナーを知っておくことは、故人との最後のお別れを滞りなく行うために重要です。

 

以下で「納めてよい物」「納められない物」「事前に届け出が必要な物」に分け、それぞれ詳しく解説します。

5-2-1 棺に納めてよい物

副葬品として納めてよい物は、基本的に火葬時に燃えるもの、燃えやすいものに限られます。これは、火葬炉の故障や有害ガスの発生を防ぐためです。

 

副葬品に選ばれる代表的なものには、故人が好んでいた衣服(金属の装飾を除く)や、家族・友人からの手紙、好きだった花や自宅で育てていた花などがあります。またお菓子やたばこといった嗜好品、折り鶴やぬいぐるみ、写真などもよく選ばれます。

 

ただし、千羽鶴など大量の紙製品、本などは火葬の妨げになる恐れがあるため避けましょう。火葬場によっては紙類(本や手紙など)を一切禁止している場合もあります。 薄い紙などは判断のうえ工夫して納められることもありますが、事前に葬儀社へ確認しておくと安心です。

 

また存命中の人が写っている写真は「生者を一緒に送る」と捉える方もいるため、避けた方が無難です。

 

副葬品を選ぶときは、故人の人生や思い出を象徴するものを中心にすると、心の整理にもつながります。なお納めてよい物とされていても、火葬場の規定によっては制限があるため、最終的な確認をしておくと安心です。

5-2-2 納められない物

副葬品として納められない物には、火葬の妨げになるものや危険を伴うものが含まれます。火葬炉の高温に耐えきれず爆発したり、煙や有害ガスを発生させたりする可能性があるためです。代表的な物には以下が挙げられます。

  • ・眼鏡
  • ・腕時計
  • ・指輪
  • ・アクセサリー
  • ・硬貨
  • ・ガラス製品
  • ・プラスチック製品
  • ・ゴム
  • ・革製品

缶・ビン・スプレー缶・ライター・乾電池などの危険物も厳禁です。

 

またメロン・スイカなどの大きな果物や分厚い書籍、アルバムなど燃えにくいものも火葬炉の温度や灰の量に影響するため控えましょう。

 

これらを誤って納めると、遺骨の損傷や火葬炉の故障につながる場合があります。持ち込み禁止の副葬品は火葬場によって異なるため、葬儀社を通じて事前に確認しておくことが大切です。

 

どうしても故人の思い出として棺に入れたい物がある場合は、写真に撮って納める方法もあります。

5-2-3 事前に届け出が必要な物

副葬品の中には、火葬前に届け出が必要な物があります。代表的なものはペースメーカーなどの医療機器です。火葬中に爆発する危険性があるため、必ず事前に葬儀社や医師へ相談し、取り外しが必要かどうかの確認を行う必要があります。

 

また大きなぬいぐるみや厚みのある書籍などは、燃焼に時間がかかり酸素不足や灰の増加につながる恐れがあります。見た目は燃える素材でも、火葬場の安全基準を超える場合があるためあらかじめ確認しましょう。

 

自治体や火葬場によって副葬品の規定は異なります。判断に迷う物は、必ず事前に葬儀社へ相談しておきましょう。「燃える素材だから大丈夫」と自己判断せず、専門家の案内を受けることが大切です。正確な情報を基に準備を整えることが、穏やかなお別れにつながります。

6 宗教ごとの納棺

納棺の基本的な流れは共通していますが、宗教によって衣装や儀礼、祈りの形式に違いがあります。どの宗派にも故人を敬い送る精神が宿っており、選ぶ言葉や所作に独自の意味が込められます。

 

ここからは、一般的な傾向として仏式・神式・キリスト教式の納棺の特徴を順に見ていきましょう。

6-1 仏式

前述のように、仏式では「あの世への旅の衣装」として故人に仏衣(ぶつえ)を着せるのが一般的です。修行僧の衣装を模した意匠や、経文をあしらった布を用いる場合があり「険しい旅を無事に越えられますように」という願いが込められます。納棺後は胸の前で手を組み、数珠をかけて合掌する形が基本です。

 

一方で、浄土真宗など一部の宗派では仏衣を着せないこともあります。宗派や地域の慣習を尊重し、住職や葬儀社と相談して進めると安心です。

 

また六文銭や杖、草鞋といった「旅支度」を象徴する品を入れるケースもありますが、火葬場の規定に配慮しながら選ぶことが大切です。

6-2 神式

神式の納棺の流れそのものは仏式と近いですが、両者の違いは衣装や所作にあります。故人には神衣(しんい)という納棺用の衣装を着せるのが習わしで、男性は白丁(はくちょう)に烏帽子(えぼし)、女性は白い小袿(こうちき)など、神職のような装いになります。棺の側面にしめ縄を巻き、紙垂(しで)を垂らすのも特徴的です。

 

神官が立ち会うこともありますが、近年は家族と葬儀社で静かに進める形も多く見られます。祭壇に棺を安置した後に「二礼・二拍手・一礼」を、音を立てない忍手(しのびて)で行うのが一般的です。

6-3 キリスト教式

キリスト教式では「納棺式」と呼ばれ、湯灌や死化粧を行って身支度を整え、祈りを捧げて棺へ納めます。死装束に決まりはなく、生前に愛用していた衣服を着せるのが一般的です。故人の胸の上で手を組ませ、十字架やロザリオを持たせる形もよく見られます。

 

式では、カトリックは神父、プロテスタントは牧師が立ち会い、祈祷や聖書朗読、聖歌斉唱が行われます。棺と故人に聖水を注いで清めて締めくくります。

7 まとめ

納棺は、故人の体を清め、身支度を整えた後に棺に納める儀式です。湯灌や死化粧、死装束への着替え、副葬品の準備など、一つひとつの工程には「故人を敬い、穏やかに送り出す」という意味が込められています。

 

納棺を行う時間はお通夜の数時間前が一般的で、立ち会うのは近親者が中心です。服装はその場に合わせたものを選び、静かな態度で臨むのが基本です。また副葬品は燃えるものに限るなど、安全面にも注意しなければなりません。

 

宗教によっても儀式の形は異なり、仏式・神式・キリスト教式それぞれに独自の作法がありますが、いずれも故人を想う気持ちは同じです。納棺の流れやマナーを理解し、心を込めて見送る時間を大切にしましょう。

 

株式会社くらしの友では、家族葬をはじめとするさまざまな葬儀プランをご用意しています。湯灌や身支度、納棺の手配もお任せください。葬儀の事前相談や資料請求、お見積もりも承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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