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火葬とは?火葬の流れや知っておきたいマナーをご紹介

作成日:2025.06.13
最終更新日:
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監修者
秋葉 祐子
/(株)くらしの友 儀典本部

2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。

ある程度の年齢以上の方にとっては、親の葬儀や自身の終活を考えることが現実的な問題となりつつあります。日本では火葬が一般的ですが、実際の手続きや流れを詳しく知る機会は少ないものです。

 

本記事では、火葬の歴史から実際の流れ、必要な手続きまで、いざというときに慌てず対処するための基礎知識をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • 火葬の歴史や日本での位置づけ
  • 火葬を行う際の基本的な流れと手順
  • 火葬に必要な書類や手続き、注意点
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目次

  1. 1 火葬とは?
  2. 2 火葬するまでの流れ
  3. 3 火葬にかかる費用
  4. 4 火葬のマナーやしきたりについてよくある質問
  5. 5 まとめ:葬儀・火葬でのご心配事は、お気軽にご相談ください

1 火葬とは?

火葬は故人の遺体を焼却し、遺骨として残す葬送方法であり、日本の法律に基づき、定められた手続きに従って執り行われます。現代の日本では伝統的に土葬が続けられている一部の地域を除き、ほとんどの自治体では火葬が義務づけられています。ここでは火葬の歴史と定義、法的要件を詳しく解説します。

1-1 火葬の定義

火葬の定義について説明画像

火葬(かそう)とは、遺体を焼却して遺骨にする葬送方法です。現代の日本ではほとんどの方が火葬により弔われており、公衆衛生の維持や土地の有効利用といった観点からも重要な役割を果たしています。

 

日本では「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」により、遺体は原則として火葬することが定められています。法的には土葬も認められていますが、多くの地方自治体では条例によって制限されており、実際に許可が下りることはまれです。

【火葬の定義・要件】

  • ・「火葬」とは、遺体を葬るために、これを焼くことをいう
  • ・死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない
  • ・火葬は、火葬場以外の施設でこれを行ってはならない
  • ・厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けなければならない

※引用:厚生労働省.「墓地、埋葬等に関する法律」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei15/ (参照 2025-03-30)

 

火葬が行われた後は、骨上げ(こつあげ)と呼ばれる儀式を執り行います。火葬後に遺骨を取り出して、親族が順番に箸で骨を拾い上げて骨壺に納める儀式で、収骨(しゅうこつ)ともいわれます。この儀式は日本特有の習慣であり、故人への最後の敬意を示す行為ともいわれます。

1-2 火葬の歴史

日本における火葬の歴史は飛鳥時代にさかのぼります。『続日本紀』によると、700年に僧の道昭が火葬されたのが日本初の記録とされており、702年には持統天皇も火葬で埋葬されました。これは仏教の開祖であるブッダが火葬されたことの影響を受けたと考えられています。

 

しかし火葬が行われていたのは、貴族や公家といった社会的地位の高い人々が中心でした。一般庶民の間では長らく土葬が主流であり、多くのご遺体は棺に納められ、そのまま埋葬されていました。

 

国内に火葬が広く普及したのは明治時代以降のことです。明治政府は一時期火葬禁止令を出しましたが、すぐに廃止されています。1897年(明治30年)に「伝染病予防法」で都市部の土葬が禁止されると、各地に火葬炉が建設され始めました。衛生面の向上や土地の有効利用の観点からも火葬文化への移行が進み、現在では日本国内の葬送の99%は火葬です。

2 火葬するまでの流れ

火葬するまでの流れ説明画像

火葬には死亡届の提出から始まり火葬許可証の取得、そして実際の火葬まで、いくつかの流れがあります。ここでは火葬に至るまでの手続きと準備、費用の目安を解説します。

2-1 火葬の許可を得るための手続きを行う

「火・埋葬許可証」は遺体を火葬するために必要な許可証です。この火・埋葬許可証がなければ火葬できないため、必ず葬儀の前に取得しなければなりません。

 

死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役所に死亡届を提出する必要があります。役所に死亡届を提出するのと同時に、火・埋葬許可証の発行申請も可能です。死亡届が受理されると、火・埋葬許可証が発行されます。

 

なお、遺族に代わって死亡届と火葬許可申請書の提出を代行してくれる葬儀社もあります。葬儀の打ち合わせの際に確認しておくと良いでしょう。

 

火葬当日は火・埋葬許可証を火葬場の事務所に提出します。火葬と収骨が済むと、火葬場の証印または火葬日時が記入された許可証が返却されます。埋葬許可証として納骨の際に必要なので、大切に保管しておきましょう。

 

火・埋葬許可証について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

2-2 葬儀後に火葬場へ移動する(出棺)

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2-3 葬儀後に火葬場へ移動する(出棺)

出棺とは、葬儀後にご遺体を火葬場へと送り出す儀式です。このとき葬儀社が手配した寝台車(霊柩車)が先頭を走り、その後参列者が乗るマイクロバスや自家用車が続く形で車列を組みます。

 

車列の順番は、一般的に故人との関係が深かった順になるのが基本です。喪主や近親者が最優先で、その後に親戚や友人・知人が続きます。

 

火葬場に向かうのは、主に喪主や親族など、故人と縁の深い方が中心です。親族ではない一般参列者は葬儀場で見送りを行い、火葬場には同行しないケースが多いですが、遺族から火葬場への同行をお願いされた際には、できる限り応えたいものです。どうしても都合がつかないときは、丁重にお断りしましょう。

2-4 納めの式を行う

火葬場に到着したら、まず火葬場のスタッフに火・埋葬許可証を提出します。手続きが完了すると、ご遺体は火葬炉の前へと運ばれ、そこで「納めの式(おさめのしき」と呼ばれるお別れの儀式を執り行います。

 

納めの式では、祭壇に位牌と遺影が飾られ、僧侶が同行している場合は読経が行われます。その後、参列者は喪主、遺族、親族、友人・知人の順に焼香を行う流れです。悔いを残さないよう、故人と対面して最後のお別れをしましょう。

 

焼香が終わると、参列者全員で合掌を行い、厳かに故人を見送ります。納めの式が終了すると、ご遺体が火葬炉へと運ばれて火葬が始まります。

2-5 火葬が終了するまで待機する

火葬が始まると、参列者は火葬場内の待合室で静かに過ごすことになります。火葬にかかる時間は火葬炉の性能・故人の体型・棺に納められた副葬品の量などによって異なりますが、一般的には1時間〜1時間半程度が目安です。

 

待機時間中は故人を偲びながら、静かに過ごします。火葬を待つ間に、飲み物やお茶うけの菓子などを用意するほか、精進落としの席を設けることも一般的です。

火葬が終了に近づくとスタッフから収骨の案内があるので、指示に従いましょう。

2-6 収骨(お骨上げ)

火葬が完了すると、故人の遺骨は収骨室に運ばれます。火葬場によっては火葬炉の前で収骨を行うこともあります。火葬後の遺骨を箸で拾い、骨壺に納める儀式を「お骨上げ」と呼びます。

 

お骨上げは2人1組で行い、専用の骨箸を使って同時に1つの骨を持ち上げ、骨壺へと移していく流れです。この際、箸は竹や桃、桑の木で作られた物が使用され、この世からあの世への橋渡しという意味が込められています。

なお、浄土真宗など一部の宗派では、「あの世への橋渡し」といった考え方はされないため、2人1組で骨を拾うという風習は行わず、箸やトングで一人ずつ遺骨を骨壺に納める方法が取られます。

 

収骨は通常、足の骨から始まり、脚・腰・胴体・腕・肋骨・歯の順に上へ進み、最後に頭蓋骨(喉仏を含む)を納める方法が一般的です。故人の喉仏は、喪主の手で骨壺の一番上に納めます。

 

お骨上げの方法は地域によって異なる場合がありますが、葬儀社や火葬場のスタッフが手順を説明してくれるので、指示に従って行いましょう。儀式が終わると骨壺は白木の箱に入れられ、錦袋と呼ばれる布のカバーをかけて遺族に渡されます。

2-7 埋葬許可証を受け取る

埋葬許可証は、ご遺体または遺骨を埋葬・納骨するために必要な公的な許可証です。火・埋葬許可証は火葬を行うための書類ですが、火葬場での火葬が終了すると、火葬場のスタッフから火葬済みの日時と証印を押された状態で返却され、この時点で埋葬許可証となります。

 

埋葬許可証は故人の遺骨を墓地へ納骨する際に、墓地や納骨堂の管理者に提出する必要があります。埋葬許可証がないと、納骨を行うことができませんので、納骨まで大切に保管しておかなければなりません。

 

万が一紛失してしまうと、再発行の手続きには時間と費用がかかるので注意が必要です。

3 火葬にかかる費用

火葬にかかる費用は、火葬場の運営形態や地域によって異なります。主な費用項目と公営・民営それぞれの料金体系をまとめました。

3-1 火葬に必要な費用

費用項目
詳細
火葬料
遺体を火葬するための費用
待合室使用料
火葬の間に参列者が待機する際に使用する部屋の使用料
骨壺代
遺骨を納めるための容器の費用(金額は素材や大きさによる)

3-2 公営と民営の料金比較

項目
公営
民営
火葬料
0~5万円
4万~10万円
待合室使用料
0~1万円
2万円程度
骨壺代
1万円程度
1万円程度

公営火葬場は地方自治体が運営しており、故人が住民票を登録している自治体であれば無料または割安な料金で利用できる場合があります。一方、他の自治体の火葬場を利用する場合は割高になるのが一般的です。

 

民営火葬場は公営に比べて料金が高めですが、選択肢が豊富で設備やサービスが充実していることがあります。地域によっては、公営と同等の料金設定の民営火葬場も存在します。

4 火葬のマナーやしきたりについてよくある質問

火葬のマナーやしきたりについて説明画像

火葬に関するしきたりやマナーについて、よく寄せられるご質問をまとめました。
事前に知っておくことで、当日も落ち着いて臨むことができます。

4-1 火葬場の職員や、霊柩車の運転手などに「心付け」を渡した方がよいのでしょうか?

心付け(こころづけ)は、欧米のチップ文化に似た日本独自の習慣で、寸志(すんし)とも呼ばれています。葬儀の受付などのお手伝いをしてくれた知人や、葬儀に関わるスタッフに感謝の気持ちを表すために渡されることが一般的です。

かつては、火葬場で従事するスタッフ(案内人や火夫、霊柩車の運転手など)には、心付けを渡すのがマナーとされていましたが、近年では民間の火葬場でも受け取りを辞退するケースが多くなっています。また、公営の火葬場では、職員が心付けを受け取ることが禁止されています。

心付けを渡さなくてもマナー違反になることはありませんが、地域の習慣によって異なる場合もありますので、心配な場合は葬儀社に確認することをおすすめします。

4-2 分骨を希望する場合は、いつ申し出れば良いの?

分骨(ぶんこつ)とは、亡くなった方の遺骨を分けて、複数の場所で供養することを指します。実家の墓から分骨して新しく墓を建てるケースや、複数の親族が異なる場所で故人を弔いたいと希望するケースなど、複数の墓地に納骨を希望する場合には、分骨を行う必要があります。

 

火葬場で収骨をする際に、同時に分骨するのが一番スムーズです。

分骨した遺骨を墓地に埋葬するためには、分骨用の火葬証明書が別途必要です。この証明書は火葬場で発行されますが、当日に申し出ると間に合わない可能性があります。分骨を希望する場合は、できれば葬儀社との打ち合わせの段階で、遅くとも火葬の前日(通夜日)までにお伝えいただくと安心です。

 

なお、すでに墓地へ納骨されている遺骨を分ける場合には、墓地の管理者から「分骨証明書」を発行してもらう必要があります。

4-3 棺に入れて良い副葬品は何ですか?

故人の棺には副葬品を納める場合は、火葬の際に支障が生じないよう適切な物を選ぶことが大切です。

【棺に納められる副葬品】

  • ・故人が好きだった花:生前に好んでいた花、育てていた植物など
  • ・手紙やメッセージ:感謝の言葉や想いを綴った手紙、友人からの寄せ書きなど
  • ・思い出の写真:旅行や思い出の写真(存命の方を含む写真は避ける)
  • ・お菓子・食べ物:故人が好きだった食べ物(大き過ぎない物)
  • ・衣服:故人がよく着ていた服や制服(綿・麻・絹など天然素材の物)
  • ・嗜好品:好きだったお酒やタバコなど(紙パックのように燃えやすい物)

副葬品を入れる際は火葬時に燃え残りが出ないよう、金属や大きなプラスチック製品、ガラス製品は避けます。判断に迷う物は、前もって葬儀社に確認しておきましょう。

4-4 火葬場からの帰り道は、行きと違う道を通るべきですか?

火葬場からの帰り道は、必ずしも行きと違う道を通る必要はありません。

かつて日本では、火葬場からの帰り道を往路とは別の道にするという風習がありました。

これは、故人の霊をあえて道に迷わせ、縁(ゆかり)のある場所に戻ってくることを防ぐという意味が込められたもので、日本独自の死生観に基づく習わしのひとつです。

 

しかし現代では、このような風習を厳格に守る方は少なくなっており、交通事情や状況に応じて、同じ道を通って帰るケースも多くあります。

 

とはいえ、ご年配の方など、こうした昔ながらのしきたりを気にされる方がいらっしゃることもありますので、気になる場合はあらかじめ葬儀社に相談しましょう。可能な範囲で、行きとは一部異なる道を通るなどの配慮をしてくれることもあります。

5 まとめ:葬儀・火葬でのご心配事は、お気軽にご相談ください

ここまで、火葬に関する基本的な知識や流れを詳しく解説しました。火葬の歴史や手続き、服装や持ち物、焼香や収骨に関するマナーや注意すべき点を理解しておくことで、いざという時に落ち着いて対応できます。葬儀や火葬に関する疑問や不安がございましたら、くらしの友までお気軽にご相談ください。経験豊かなスタッフが、皆様の大切な方との最後のお別れを丁寧にサポートいたします。

 

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