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檀家とは? 檀家になるメリット・費用・やめ方や注意点まで徹底解説
/(株)くらしの友 商事本部
東京都23区エリアを中心に、法事や葬儀などの施行業務を担当。法事・法要・仏壇や位牌のほか、墓地や墓石など、先祖供養に関連するさまざまな知識をもつエキスパート。
檀家(だんか)という言葉を聞いたことはあるものの、詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。古くから日本の仏教文化の中で続いてきた檀家制度ですが、現代ではその意義や関わり方が変わりつつあります。
本記事では、檀家の基本的な意味から歴史、現代の檀家制度の在り方までを解説します。さらに、檀家になるメリットや入檀の流れ、費用なども紹介するので、ぜひ参考になさってください。
この記事で分かること
- 檀家の仕組みや歴史
- 檀家になる4つのメリット
- 檀家になるまでの流れや費用、やめる方法
目次
1 檀家とは?
檀家(だんか)とは特定の寺院に所属し、葬儀や法要などの仏事を営んでもらう代わりに、経済的な支援を行う家のことです。この関係は、個人ではなく「家単位」で続くのが一般的です。先祖代々、同じ寺院で供養を受ける家庭も少なくありません。
宗派によって呼び方が異なり、例えば浄土宗では「信徒」、浄土真宗では「門徒」と呼ばれることがあります。
自分の家が檀家であるかを見分ける一つの目安は、お墓が寺院の敷地内にあるかどうかです。寺院墓地にお墓がある場合は、その寺院の檀家である可能性が高いといえます。ただし、近年では寺院墓地であっても檀家契約を結ばないケースもあります。
1-1 菩提寺とは?
菩提寺とは、家族や先祖代々の供養をお願いする寺院のことです。檀家が所属する寺院を指す言葉であり、葬儀や法要、納骨などの中心的な場です。檀家と菩提寺は「支える・支えられる」という関係で結ばれ、菩提寺は供養を担い、檀家はお布施や維持費を通して支援します。
現代では、先祖代々の菩提寺が遠方にある家庭も増えています。そのため、実家の寺院とは別に近隣の寺院へ相談したり、新たに入檀したりする家庭も見られます。
こうした変化は、現代社会のライフスタイルに合わせて檀家制度が柔軟に変化している表れでもあります。
1-2 檀家制度の歴史
鎌倉~室町時代
この頃から、人々が特定の寺院に帰依し、葬儀や法要をお願いする慣習が生まれました。
こうした人々を「檀那(だんな)」と呼び、寺を「檀那寺(だんなでら)」と呼びました。
ただし、この時点ではまだ「制度」ではなく、信仰や地域のつながりによるゆるやかな関係でした。
江戸時代 (檀家制度の確立)
そのルーツは「寺請制度」という幕府がキリスト教の布教を防ぐ目的で導入した制度にあります。全ての家庭はどこかの寺院に所属し「寺請証文」と呼ばれる証明書を発行してもらう必要がありました。
この制度は宗教統制だけでなく、住民の戸籍管理や年貢徴収を円滑にする目的もあり、寺院は地域社会の行政的な役割も担っていました。
明治時代に寺請制度自体は廃止されましたが、寺院と家庭との結びつきは「檀家制度」という形で残り、現在も供養や法要の文化として受け継がれています。
1-3 現代の檀家制度
現代の檀家制度は、法律で義務付けられているものではありません。都市化や核家族化により、実家の寺院から離れて暮らす人が増えたことで、昔ながらの檀家の関係を続けにくい家庭もあります。
近年では、葬儀や法要を葬儀社や別の寺院に依頼するケースも多く、従来の「家と寺の強い結びつき」は徐々に変化しています。
一方で、寺院が墓地を管理し、その利用者と檀家契約を結ぶ「墓檀家制度」や「永代供養付き墓所」など、新しい形の関係も生まれています。これらは、家族構成の変化に対応した現代的な供養の形といえるでしょう。
2 檀家になるメリット
檀家になると、以下のようなメリットがあります。
- ・葬儀・法要を安心して任せられる
- ・先祖供養・お墓の管理が行き届く
- ・宗派の教えや法話を通じた精神的支え
- ・寺との信頼関係で特別な供養や相談が可能
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
2-1 葬儀・法要を安心して任せられる
檀家になると、葬儀や法事をスムーズに行える体制が整います。
菩提寺の僧侶が宗派に沿った儀式を執り行ってくれるため「どこに頼めばいいのか」と悩まずに済みます。
家族が亡くなった際、寺がすぐ対応してくれる安心感があります。
2-2 先祖供養・お墓の管理が行き届く
菩提寺にお墓をもっている場合、僧侶による定期的な読経や管理が行われます。
お盆・お彼岸などの年中行事で供養していただけるので、離れて暮らしていても安心して先祖を偲ぶことができます。
永代供養なども頼みやすく、代々の供養の継続性が確保されます。
2-3 宗派の教えや法話を通じた精神的支え
檀家であることで、僧侶との交流や法話を通じて、心の安定や人生観への気づきを得られることがあります。
仏教的な考え方(無常・感謝・つながり)に触れることで、悩みごとの相談相手として寺を頼る人も多いです。
2-4 寺との信頼関係で特別な供養や相談が可能
長い付き合いのある檀家は、お寺からも大切にされます。
特別な供養、戒名の相談、墓の移転や改葬なども柔軟に対応してもらいやすいです。
檀家ではない方とは違い、家の歴史や背景を理解してくれる存在になります。
3 檀家になるまでの流れ
檀家になるためには「入檀」という手続きが必要です。基本的な流れは次の通りです。
- 1.寺院を探す
- 2.特定の寺院と契約を結び、入檀の手続きを踏む
- 3.入檀料を支払う
- 4.入檀後も定期的に経済的支援を行う
まず、自分や家族の宗派、立地、雰囲気などを基準に寺院を探します。新たに入檀する場合は、永代供養墓や納骨堂の有無など、供養の方針に合う寺院を選びましょう。
最近では、インターネットで寺院の情報を調べたり、実際に現地を訪れて住職と直接話したりする人も増えています。見学の際には、法要の雰囲気や住職の人柄を確かめておくと安心です。
ただし先祖代々の菩提寺がある場合や寺院に墓地がある場合は、必ずそちらに相談しましょう。事前に相談せずに進めると、後々トラブルや誤解の原因になることがあります。
寺院が決まったら、入檀の意思を伝えます。申し込みは口頭または書面で行うのが一般的です。入檀の目的を明確に伝え、費用や維持費、行事の有無についても確認しておくとよいでしょう。寺院によっては、簡単な申込書を提出したり、面談の場が設けられたりする場合もあります。
入檀が承認されると、初期費用として「入檀料」を納めます。金額は寺院の規模や地域によって異なり、10万~30万円程度が目安です。墓地の使用料や位牌堂利用料が含まれる場合もあります。
入檀料は、寺院への「加入費」ではなく、今後のご縁を結ぶ感謝の気持ちとして納めるものです。入檀が完了した後は、年に一度の護持会費や法要時のお布施などを通じて寺院を支援していきます。
また年中行事(お彼岸・お盆・施餓鬼法要など)への参加を通じて、寺院や他の檀家との交流が生まれることもあります。
入檀の手続きは難しいものではなく、寺院とのご縁を結ぶ第一歩です。不明点がある場合は、遠慮せずに住職へ相談しましょう。丁寧に説明してくれる寺院がほとんどです。こうした誠実なやり取りを重ねることで、長く安心して供養をお願いできる関係を築けます。
4 檀家になると発生する費用
檀家になると、初期費用の他に継続的な支出が発生します。主に「入檀料」「お布施」「寺院・お墓の維持費」「寄付金」などで、金額や支払い頻度は寺院によって異なります。
不安がある場合は、事前に寺院へ相談するのがおすすめです。以下でそれぞれの内訳を詳しく解説します。
4-1 入檀料
入檀料は、檀家として寺院に加入するときの初期費用で、10万〜30万円程度が一般的です。寺院の立地や格式、墓地の有無によって金額が変わります。
位牌堂を利用する場合は別途費用が必要なこともあり、相場は10万円前後です。寺院によっては「寄付」として扱われることもあります。金額を事前に確認し、内容に納得してから手続きを行うと安心です。
4-2 お布施
お布施は本来、「感謝の気持ちを金額で表すもの」であり、定価はありません。
しかし実際には、地域・宗派・寺との関係性によっておおよその「相場」があります。
葬儀(通夜・葬儀・火葬)の場合は、30万~50万円前後が相場とされます。
金額に明確な決まりはなく「感謝を形にする」という考え方が根底にあります。地域差もあるため、同じ寺院の檀家や住職に相談しておくと安心です。
4-3 寺院・お墓の維持費
寺院や墓地を維持するための費用は「護持会費」「志納金」と呼ばれます。年間5,000〜2万円、月額500〜1,500円前後が目安です。この費用によって境内の清掃や設備の維持、供養活動が継続されます。
護持会が設けられている寺院では、檀家同士が協力し合うこともあります。
4-4 寄付金
寺院の改修や修繕の際には、檀家に寄付をお願いされることがあります。金額は寺院や工事内容によって異なり、任意での協力が基本です。大規模な修繕の場合は、檀家の理解と協力が欠かせません。しかし寄付は義務ではなく、感謝の気持ちとして行うものです。
5 檀家をやめることはできる?
檀家をやめることは可能です。これを「離檀(りだん)」と呼び、これまで関係を結んでいた寺院とのつながりを解消し、別の寺院や霊園にお墓を移すことを意味します。
離檀料は法的な義務ではありませんが、感謝の気持ちとして5万〜20万円前後を渡すことが一般的です。離檀の理由には、引っ越しや墓地の老朽化、後継者不在などがあります。
離檀の手続きの簡単な流れは、以下の通りです。
- 1.寺院へ相談
- 2.埋葬証明書の発行
- 3.改葬申請
離檀を円満に進めるには、事前に誠意を持って話し合い、感謝の気持ちを伝えることが大切です。長年の関係を尊重しながら、丁寧な対応を心掛けましょう。
またこれまでお世話になった寺院への感謝の気持ちとして、離檀料を渡す場合があります。法的な義務はないものの、慣例として支払うケースが多く、相場は5万~20万円程度が一般的です。
6 まとめ


