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葬儀をくらしの友で実際に行った方のエピソード「奥様による最後の湯灌」をご紹介いたします。

奥様による最後の湯灌 葬儀エピソード

くらしの友で実際に葬儀を行った方のエピソードと、その担当スタッフのメッセージをご紹介いたします。

ご主人様の湯灌の儀にて

90歳くらいの男性の方の葬儀で、喪主を奥様が務められていました。奥様は足が不自由だったので、湯灌の時は壁に背中をもたせかけて、足を伸ばしたかたちでご覧いただいていました。
多くの場合、ご家族の方々はお顔に近い洗髪に注目されます。ただ、その奥様は洗髪ではなく、足元からシャワーをかける手元に視線を寄せられ、その動きを追っていらっしゃいました。シャワーを終え、タオルを取り出し石鹸をつけて、故人様をおみ足を洗おうとしたその時、手元に強い視線を感じ、顔を向けると奥様が足元を洗うタオルをじっとご覧になられていたのです。ご自身で洗いたそうな視線に感じたので「もし、よろしかったらお身体を洗って差しあげますか」とお誘いしました。
すると奥様は嬉しそうに「洗ってもいいのですか?」と答えられ、足の不自由なことが感じられない動きで私の真横まで来られました。タオルをお渡しすると嬉々とした表情で故人様のお身体を洗いはじめ、丁寧に足先から首下まで何度も何度も繰り返し洗っておられました。そのにこやかな表情、一生懸命洗われる姿を拝見していると、とても幸せそうに見えました。

無事に湯灌・納棺を終えて

湯灌の儀、納棺を終え、お部屋でご喪家にご挨拶をして、玄関に向かうと、奥様が足が不自由なのにも関わらず、わざわざ玄関まで見送りに来てくださいました。
玄関で腰を下ろして靴を履き、立ち上がってご挨拶をしようと振り返ると、奥様が正座をしておられ、額が板敷きの床につかんばかり深々とお辞儀をされているのです。
そして涙で濡れたお顔をあげられ「本当にありがとうございました。最後の別れの時に、主人を洗ってあげられるとは思いもしませんでした」とおっしゃってくださいました。

担当者よりメッセージ(担当:森 京子)

人生を共に過ごしてきた、大切な方を失う悲しみはご喪家にしかわからないでしょう。
ただ、ご喪家の様子に気を配り、その時、その場においてできる限りの対応をすることが私たちにできる唯一のことです。
「願っておられること、望んでおられることはすべて叶えられただろうか?」
「悔いの残らない時間にできただろうか?」
常にお気持ちに寄り添う気持ちを持ち続けることで、悲しみを和らげるお手伝いができればと思っています。