
夏の残暑も和らぎ、初秋の季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
くらしの友では、亡くなった大切な方に向けて、生前伝えられなかった想いを手紙に綴っていただく、「つたえたい、心の手紙」活動を2008年から実施しています。くらしの友のWebサイト内にて、金賞・銀賞に選ばれた作品の全文をご紹介していますが、まだ掲載されていない作品のなかにも、想いのこもった素敵なお手紙が多数あります。
そこで、「つたえたい、心の手紙」事務局より、まだWebサイトでは公開されていないお手紙の中から、ぜひ読んでいただきたいお手紙を傑作選として、テーマや季節に合わせて定期的にご紹介いたします。
第1弾となる今回は、夏から秋への季節の変わり目で、なんとなく寂しく感じるそんな夜に読んでいただきたい、亡き夫へ宛てた心温まるお手紙を1つご紹介いたします。
[目次]
<妻から夫へ> 星になったあなたに
お元気ですか。あなたが旅立って十年以上たちました。
いろんなことがありました。泣いたり、笑ったり、悲しいこと、楽しいこと、いっぱいでした。
小さかった子供達も、長男は社会人に、次男は大学生になり、自分の夢に向かって、がんばっています。
子供達の成長が心の支えでした。
どこに行くにも、三人で手をつないで歩いていたのに、いつの日か、長男が一人で歩いて、次男も手が離れ、つないだ手のぬくもりを残して、歩みはじめました。
今は将来に幸多かれと願い、見守り続けています。また三人でくらせる日がいつかくることを楽しみに、信じて待っています。
つらいことがあると、夜空をみあげます。
光り輝いている星をみつけると、あなただろうと思い、近況を話しかけます。
きっといつまでも私達をあたたかく見守ってくれていると信じています。
がんばらない、でもあきらめない、そしてなげださない、へこたれない、そう思って生きてきました。
生きたくても、生きられなかったあなたの無念を思うと、これも試練だと思い、歩んできました。
あんなことを、こんなことをしたいと思いながらもできず、心と体が疲れて、どうしたらいいかと悩む日々が続きました。
考えても考えてもだめな時は、散歩してみます。あたたかい、やさしい人達の心にふれると、生きていてよかったな、なんとかなるさと思います。
体調を悪くして入院した時、子供達は、「大丈夫だよ」といって、ささえてくれました。
大丈夫だよ、そのひとことが勇気になって、元気になって、無事退院できました。
残りの人生、どう生きていこうか、考えています。
あなたと共に生きたいと思います。見守っていて下さいね。
しあわせって何だろう。
ないものをさがさず、あるものを大切に、誠実に生きていこうと星に願いをかけました。
(第2回 佳作受賞作品/川口 礼子 様/年齢:58歳)
「つたえたい、心の手紙」の概要や過去の受賞作品については、下記のページでご紹介しております。